「ちんすこう」の元祖は?


沖縄で最もポピュラーな土産のひとつ「ちんすこう」は、王朝時代から伝わる伝統的な菓子である。漢字で書くと「金楚糕」という難しい字を書く。琉球王国時代には200種くらいの琉球菓子があったといわれている。しかし、戦争で壊滅的な打撃を受け、菓子司が亡くなったり、製造方法の資料が焼失するなどして再興することができず、今では、「ちんすこう」や「ちいるんこう」など、わずかに10種くらいしか残っていないそうだ。「王朝菓子」のほとんどが姿を消し、幻の菓子となってしまった。(「ありんくりん沖縄公式ブック」(TOKIMEKIパブリッシング発行)、琉球放送「うちなー紀聞」などより)。

もともとの「ちんすこう」のレシピは、砂糖と小麦粉にラードを混ぜた素朴なものだったのだが、今では、チョコ味、チーズ味、紅芋味、黒糖味、パイナップル味や塩味など、いろいろな味の「ちんすこう」が発売されている。商標登録していないので、多くのメーカーが生産しているが、由緒ある「ちんすこう」は、新垣家で作られたものだそうだ。その歴史は、Wikipediaに詳しいのでご紹介する。

尚灝王、尚育王、尚泰王の3代の王に仕えていた一世の新垣淑規【宣肇基·新垣親雲上淑規(あらかきぺーちんしゅくき)】と二世の新垣淑総から作り方を伝授された三世の新垣淑康は、明治41年(1908)に新垣菓子店を興し、今日のような焼き菓子「ちんすこう」を販売した。この菓子は琉球と日本本土を行き来する人達の土産品として重宝がられていたそうだ。新垣菓子店から分家独立という形で那覇市の久米に店舗を構えた新垣淑扶は、これまで菊型の丸い形をしていた「ちんすこう」を一口サイズの細長い形に改良。と同時に「ちんすこう」の大量生産(オートメーション化)を確立させた。また、半透明のビニールパッケージに小分けするという衛生面を配慮した現在のスタイルも新垣淑扶の発案である。その後、「ちんすこう」は沖縄県の本土復帰と沖縄国際海洋博覧会という二大イベントも重なり、沖縄県を代表する土産菓子としての認知度をさらに高めていった。

しかし、今なお新垣の名を継いでいるちんすこうは、新垣淑康の三男筋にあたる「琉球菓子元祖本家新垣菓子店」と六男・淑扶の「有限会社新垣菓子店(新垣ちんすこう本舗)」、七男・淑正(分家独立の話半ばに他界)の妻・カミが戦後に開業した 「新垣カミ菓子店」の三家だけであり、伝統の味を守り続けている。このほか、この御三家以外で「ちんすこう」を製造しているのは、南風堂、御菓子御殿、南国製菓、南都物産、おきなわ製菓、ファッションキャンディ、珍品堂、ナンポー通商などがあり、新しい味の「ちんすこう」を製造、販売している。



本家新垣菓子店 新垣カミ菓子店
本家新垣菓子店 新垣カミ菓子店
本家新垣菓子店のちんすこう 新垣カミ菓子店のちんすこう
新垣菓子店のちんすこう 新垣カミ菓子店のちんすこう

昭和40~50年代に沖縄に行った友人、知人、会社の同僚たちは、皆、申し合わせたかのように土産に「ちんすこう」を買ってきたので食傷気味となり、私は今でも好きではないのだが、3家のうち2家は首里赤平町に隣りあわせに並んでいるというので行ってきた。もし、お土産にされるなら、伝統ある新垣の「ちんすこう」と覚えてお買い求めいただき、先様には「ちんすこう」は、あちらコチラで売っているが、これは琉球王朝時代からある由緒正しい「ちんすこう」である、と申し添えてお渡しいただくと、きっと喜ばれるだろう。なお、新垣は、「あらがき」でも、「しんがき」でもなく、「あらかき」と読む。戦前は「あらかち」と読んだ時代もあったそうだ。と、新垣さんが申されていた。

《ご参考》新垣菓子店は、お店で販売しているが、レアな商品なので、あらかじめ℡098-884-3413で確認してからお出かけを。ただし、土曜日は定休日。新垣カミ菓子店は、手造りの受注生産のため、直接、店に行っても、いつでも商品があるとは限らないそうだ。首里城公園内の直売店(ショップ球陽、ショップ紅型、ショップ紅型B-1)3店舗のみで販売しており、空港売店や他のお土産品店では販売していない。直接、確認するときは、℡098-886-3081へ。こちらは不定休。2軒並んでいるので、お間違えのないように。ナビで行くときは、那覇市首里赤平町1-3-2。なお、もう1件の有限会社新垣菓子店は、創業当時は那覇市久米にあったが、現在、工場は南城市に移転している。直営店舗は首里当蔵・寒川と国際通りの牧志・松尾にもあるとHPに出ていた。


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