沖縄の新パインに「ポコット」と「ジュワリー」


《追記》沖縄県産パインの新名称は「ポコット」「ジュワリー」
琉球新報によれば、JAおきなわは、沖縄県産パイナップルの新名称を主力品種の「ボゴール種」を「ポコットパイン」、「ハワイ・N種」を「ジュワリーパイン」と命名したと発表し、それぞれ特許庁に商標登録を申請したという。
「ポコットパイン」は果肉を手でちぎるとポコッと取れて食べられる様子を、「ジュワリー」は豊富な果汁や「ジュエリー(宝石)」のイメージを表現した。JAおきなわが2021年度に出荷を予定するパイナップル青果1,615トンのうち、「ポコット」は974トン、「ジュワリー」は373トンの取り扱いを予定している。
JAおきなわファーマーズ全11店で「新商品名フェア」を催し、ポコットパインを販売する。収穫時期は、八重山が4月下旬から6月、沖縄本島では6月下旬から7月頃なので、この時期に来沖の際は、ぜひ、ご試食を。私も早速、近くのスーパーに行ってみたら、八重山産のポコットパインの Lサイズが、税抜き@980円で売っていた(以上、追記終わり)。


沖縄のパイナップル(以下、「パイン」という)は甘みよりも酸味が強いと思っていた。それは、40年くらい前に来たとき、観光で名護市内のパイン園に立ち寄って試食したが、酸味が強く、食べた後、舌の先がしびれて、しばらく治らなかったことがあったからだ。その後は、沖縄に来てもパイン園に立ち寄ることはなかったが、一度刷り込まれた記憶は、簡単には消えることはなく、ず〜っと、そう思っていた。

こちらに来て入ったサークルのメンバーの中にMさんというパイン農家の方がおられた。その方がパインを一口大に切って持ってこられた。甘くておいしかった。
私「このパインは、すごく甘いですね。Mさんのところで穫れたのですか?」
Mさん「やんどぉ(そうだよ)、今朝、出荷して残ったものだけどね」
私「沖縄のパインは、もっと酸味が強いと思っていました」
Mさん「昔のパインはそうだったよ。30年くらい前からどんどん品種改良されて切り替わったんだ。今は、いろいろな種類があって、どれも甘くておいしいよ」

それまでフィリピン産のパインしか買わなかったが、今後は沖縄県産も買おうと思って、沖縄のパインについて調べてみた。

沖縄で作られているパインで、一番多いのは「スムース・カイエン」という品種で、全体の約6割を占める。酸味と甘みのバランスがよく、1個 1〜1.5キロくらいの大きさ。次に多いのは、「ボゴール」が約2割。台湾原産で酸味が少なく、柔らかいので芯まで食べられ、手でちぎることもできるそうだ。「スナックパイン」の別名もあり、1個700グラム〜1キロ。次が「ピーチパイン」で、約1割。果肉が白く甘い香りがするので「ミルクパイン」ともいわれる。1個600〜800グラムと小ぶり。このほか、平成18年に品種登録された「ゴールドバレル」は、1個1.6〜2.0キロと大きく、酸味が少なく糖度も高い。数年前から販売されているが、東村(ひがしそん)にある直売所では、大きなサイズが1個2,500円で売っていた。果汁が豊富な「サマーゴールド」は平成16年に品種登録されたもので、円筒形でサイズは1キロほど。果汁が豊富で果肉は柔らかく、甘味が強く酸味は少ないだそうだが、私は、まだ、お目にかかっていない。デルモンテが独自で改良した「ゴールデンパイン」、ドール社が日本人向けに開発した「スィーティオパイン」があるが、これは沖縄ではなく、フィリピンで栽培されている。

《ご参考》ゴールドバレルは、沖縄県のパイナップルの中でも比較的最近になって品種登録された、いまだ出回っているのが数少ない至高のパインといわれている。このゴールドバレルの育成に人生を捧げたといわれるパイン生産の匠、東村の玉城忠男(たまき ただお)さんの作るゴールドバレルは、あの「夕張メロン」に匹敵する程の最高級ブランドパイン『タダオゴールド』としてその名を轟かせている。いくらぐらいするのか調べたところ、1玉・1.5kgが、6,800円。贈答用の最上級クラスになると、2玉で17,000円と、ほかのパインに比べると桁違いの価格だった。もちろん私も口にしたことがない。 (--、)



ピーチパイン タダオゴールド
石垣島のパイン畑、形を見るとピーチパインかな 最高級ブランドパイン「タダオゴールド」

パイン農家の Mさんが言うには、「パインは、毎年、同じ株で収穫しない。収穫後は株を掘り起こし、新しい苗から栽培する。だから、品種改良されても、すぐ改良されたパインに切り替えることが出来る。1本の株からは1個しか収穫しないので、広い場所が必要。苗を植えてから収穫するまで2年かかる。パインは実の下の方が甘いので、食べるときは上から食べた方が、最後までおいしく食べられる(ぶどうは上の方が甘いから、パインは逆です)。すぐに食べないで保存するときは、冷蔵庫に入れること。そのとき葉のついていた方を下にしておくと甘みがまんべんなく行き渡る」。HP「果物ナビ」によると、選び方は、全体的に丸みがあり、下ぶくれの形をしているもの。またずっしりと重みがあって香りがよく、葉の色が濃いものを選ぶとよいそうだ。


顕彰碑

なお、沖縄のパイン栽培は、台湾からの移住者によってもたらされたそうだ。
国境地域研究センター(JCBS)のHPに寄れば「1935年に林発氏ら台湾からの移住者が石垣にパインを持ち込み、栽培を行った。戦争の激化によって、コメやイモなどの食糧を造ることが優先され、パイン畑は軍に接収されてパイン栽培もパイン缶詰の製造も中止を余儀なくされてしまったため、林氏らは台湾に戻った。しかし、戦後に再び石垣に戻った林氏らは、山に残っていたパインの苗を見つけて栽培を再開し、その後、パインは石垣を代表する特産品になった。彼らの努力を顕頌した立派な碑が、平成24年8月、石垣市の名蔵地区に建てられている。」と記されている。



《ご参考》 パインは木になると思っている人が多いが、「咲くやこの花館」館長の久山さんは「パイナップルは立派な実を付けますが、木ではなく "草" ですよ」と、言う。では、草と木の違いは何かと言うと、年輪があるかないかであるそうだ。 年輪がなければ "草"。あれば "木" ということになる。したがって、「ラベンダー」は、草だと思っている人が多いと思うが、年輪があるので、列記とした "木"だそうです。



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