JULIET(ジュリエット:伊島りすと著)


沖縄を舞台にした小説を、ご紹介する。伊島りすと著、「ジュリエット」(角川)である。平成13年の発刊なので、書店より図書館で探した方が早いかもしれない。角川ホラー文庫にもなっている。

島の名は特定されていないが、沖縄近辺と思われる孤島に、主人公親子がやってくる。島にはバブル期に建設され、ついに開業することのなかったリゾート施設があり、主人公は管理人として住み込むことになった。そして島ではタブーとされる「水字貝(すいじがい)の魂抜け」を家族全員が目撃したことをきっかけに、彼らの周囲には不可思議な現象が起こりはじめる。第8回 日本ホラー小説大賞受賞作。本のタイトルと内容がアンマッチで、その説明も説得力に欠けるが、水字貝の魂抜け という言い伝えをモチーフに物語が進んでゆく。

テーマは、おもしろいが、フィクションであり、現実感には乏しい。しかし、島ならこんなことが、まことしやかに囁かれても不思議ではない気持ちになってくる。巻末の選評にもあるように、ストーリーの展開は、冗長な感じがするが、ホラー小説は、あまり読まない私が、最後まで読んでしまった。ホラーは趣味ではないという方には、おススメはしないが、舞台が沖縄という設定のようなので、興味のある方はどうぞ。写真(右)が水字貝(HP JUGEMより)



juliet 水字貝


◎沖縄を舞台にした著作で、このサイトでご紹介しているのは、(出版順ではなく、読んだ順)
  ・「風景を見る犬(樋口有介著)」⇒こちらから
  ・「Juliet(ジュリエット/伊島りすと著)」⇒こちらから
  ・「水滴(目取真 俊著)」⇒こちらから
  ・「太陽の棘(原田マハ著)」⇒こちらから
  ・「スリーパー(楡周平著)」⇒こちらから
  ・「鬼忘(きぼう)島(江上 剛著)」⇒こちらから
  ・「あたしのマブイ見ませんでしたか(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「テンペスト(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「黙示録(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「トロイメライ(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「ほんとうの琉球の歴史(渡久地十美子著)」⇒こちらから
  ・「本屋になりたい」(宇田智子著)」⇒こちらから
  ・「ニライカナイの風」(上間司著)」⇒こちらから
  ・「トロイメライ 唄う都は雨のち晴れ(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「豚の報い(又吉栄喜著)」⇒こちらから
  ・「祭祀のウソ。ホント(渡久地十美子著)」⇒こちらから
  ・「沖縄の新聞は本当に『偏向』しているのか(安田浩一著)」⇒コチラから
  ・「辻の華(上原栄子著)」⇒こちらから
  ・「宇喜也嘉の謎(渡久地十美子著)」⇒こちらから
  ・「ヒストリア」(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「ウィルソン沖縄の旅 1917(古居智子著)」⇒こちらから
  ・「武士マチムラ(今野 敏著)」⇒こちらから
  ・「本日の栄町市場と、旅する小書店(宮里綾羽著)」⇒こちらから
  ・「秘祭(石原慎太郎著著)」⇒こちらから
  ・「ユタが愛した探偵(内田康夫著)」⇒こちらから
  ・「崩れる脳を抱きしめて(知念実季人著)」⇒こちらから
  ・「沖縄『骨』語り(土肥直美著)」⇒ コチラから
  ・「天地に燦たり(川越宗一著)」⇒ コチラから
  ・「波の上のキネマ」(増山実著)」⇒ コチラから
  ・「神に守られた島(中脇初枝著)」⇒ コチラから
  ・「宝島(真藤順丈著)」⇒ コチラから
  ・「あなた(大城立裕著)」⇒ コチラから
  ・「入れ子の水は月に轢かれ(オーガニックゆうき著)」⇒ コチラから
  ・「ジョージが殺した猪(又吉栄喜著)」⇒ コチラから
  ・「桃源(黒川博行著)」⇒ コチラから
  ・「翡翠色の海へうたう(深沢 潮著)」⇒ コチラから

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