ニライカナイの風(上間 司著)


ニライカナイの風

『ニライカナイの風』

1,429円

角川学芸出版

この本の著者は上間 司となっているが、実際は「ほんとうの琉球の歴史」の著者、渡久地十美子氏である。なぜペンネームで発表したかは後述する。渡久地氏は、沖縄県今帰仁村生まれ。お告げに従い、昭和63年頃より神に仕える身となる。では「ユタ」かというと、ご本人は、この本に繰り返し述べているようにユタを嫌っており、「ユタ」と呼ばれることも拒否しておられる。この他の著作には、「ほんとうの琉球の歴史2 尚円王妃 宇喜也嘉の謎」、「祭祀のウソ・ホント」があるが、本書が最初の著作である。

出版社の解説は「沖縄では、人は七つの生魂を持って生まれてくると言われる。マブイと呼ばれる生魂を大切に生きること。神さまや霊のメッセージに耳を傾けること。今、悩み苦しんでいる人がもう一度立ち上がるきっかけになる本」とある。

まず、書名である「ニライカナイ」の説明をすると、沖縄や奄美群島に伝わる理想郷のことで、遥か遠い東の海の彼方、または海の底にあるとされる。沖縄の人々は海のかなたに神々の住む島があると考え、その聖地を「ニライカナイ」と呼んだ(Wikipediaなどから)。著者は「この本のタイトルをニライカナイの風としたのは、海の遙か向こう側にある常世の国から幸せが運ばれてきますようにとの願いからです」と言う。


本書は、著者が解決した多くの霊症の事例を紹介しながら、マブヤーやヌジファ(死者のマブヤーをお連れする儀式で、死者に対する尊厳の弔いとその遺族の悲しみを和らげる意味もある沖縄独特の儀式)を大切にし、インチキ霊能者が意味のない拝みを繰り返すことの無意味さを訴えたものである。つまり、霊的なことが原因で起こる困難な霊症に対処してきた神の声を聞くことの出来る著者の切実なる魂の叫びともいえる。

この本をペンネームで出版したのは、本名だと自分を特別に見せることになり、特別に思われることがイヤだった。また、約束ナシでいきなり訪問してくる人が増えたり、勝手に自分の名を使ったりする人が出てくるという懸念あったから、さらには、本を出したのは有名になりたいと思ったからではなく、本当のことを伝えなければならないという使命感によるものだと、近著の「祭祀のウソ・ホント」で述べておられる。



◎沖縄を題材にした著作で、このサイトでご紹介しているのは、(出版順ではなく、私が読んだ順)
  ・「風景を見る犬(樋口有介著)」⇒こちらから
  ・「Juliet(ジュリエット/伊島りすと著)」⇒こちらから
  ・「水滴(目取真 俊著)」⇒こちらから
  ・「太陽の棘(原田マハ著)」⇒こちらから
  ・「スリーパー(楡周平著)」⇒こちらから
  ・「鬼忘(きぼう)島(江上 剛著)」⇒こちらから
  ・「あたしのマブイ見ませんでしたか(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「テンペスト(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「黙示録(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「トロイメライ(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「ほんとうの琉球の歴史(渡久地十美子著)」⇒こちらから
  ・「本屋になりたい」(宇田智子著)」⇒こちらから
  ・「ニライカナイの風」(上間司著)」⇒こちらから
  ・「トロイメライ 唄う都は雨のち晴れ(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「豚の報い(又吉栄喜著)」⇒こちらから
  ・「祭祀のウソ。ホント(渡久地十美子著)」⇒こちらから
  ・「沖縄の新聞は本当に『偏向』しているのか(安田浩一著)」⇒コチラから
  ・「辻の華(上原栄子著)」⇒こちらから
  ・「宇喜也嘉の謎(渡久地十美子著)」⇒こちらから
  ・「ヒストリア」(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「ウィルソン沖縄の旅 1917(古居智子著)」⇒こちらから
  ・「武士マチムラ(今野 敏著)」⇒こちらから
  ・「本日の栄町市場と、旅する小書店(宮里綾羽著)」⇒こちらから
  ・「秘祭(石原慎太郎著著)」⇒こちらから
  ・「ユタが愛した探偵(内田康夫著)」⇒こちらから
  ・「崩れる脳を抱きしめて(知念実季人著)」⇒こちらから
  ・「沖縄『骨』語り(土肥直美著)」⇒ コチラから
  ・「天地に燦たり(川越宗一著)」⇒ コチラから
  ・「波の上のキネマ」(増山実著)」⇒ コチラから
  ・「神に守られた島(中脇初枝著)」⇒ コチラから
  ・「宝島(真藤順丈著)」⇒ コチラから
  ・「あなた(大城立裕著)」⇒ コチラから
  ・「入れ子の水は月に轢かれ(オーガニックゆうき著)」⇒ コチラから
  ・「ジョージが殺した猪(又吉栄喜著)」⇒ コチラから
  ・「桃源(黒川博行著)」⇒ コチラから

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