沖 縄 移 住 生 活 始 め ま し た
『ヒストリア』 1,900円+税 KADOKAWA |
「テンペスト」「黙示録」など、琉球王朝を舞台にした著作の多い池上永一氏は、1970年沖縄県生まれ。早稲田大学在学中に「バガージマヌパナス」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。ほかの著書に「シャングリ・ラ」「トロイメライ」などがあり、このサイトでも、下記の ”沖縄を題材にした著作” にあるように、何冊かご紹介している。 |
なぜ、表紙がチェ・ゲバラ?と思ったが、主人公である知花煉が、戦後、米軍の部隊に追われ、沖縄からボリビアへと渡り、過酷な生活と、現地の人々と繰り広げる波乱万丈の日々のなか、分身となった煉のマブイの片割れがチェ・ゲバラに出会って恋に落ちてしまうという荒唐無稽なストーリーなのだが、情況が目まぐるしく、また圧倒的なスケールの大きさで展開して行く。読みだしたら止まらない。629ページを一気に読んでしまった。午前中から読みだしたが、読み終えると時計は午前3時を回っていた。
池上永一氏本人は、ニュースリリースの中で、「構想20年、執筆4年、僕の集大成です。作家として、この作品だけは絶対に書かなければならないと思っていました」と言う。
《ご参考》
=魂(マブイ)=
魂。霊魂。生きている人の魂をいう。死者の霊はタマシーという。地域によってマブイは3、5、7つもあるという。心理的ショックを受け茫然自失の状態に陥ることがある。これをマブイが落ちた、抜けたという。抜けた後に悪霊が入り込み、破滅に向かわせる。詳しくは、池上永一著「あたしのマブイ見ませんでしたか」 ⇒ コチラから。
=コロニア・オキナワ=
第二次世界大戦後、経済難、食糧難に対し日本政府は南米への移民政策を実施した。コロニア・オキナワは、ボリビアのサンタ・クルス県にある日本人移民の入植地である。太平洋戦争の後、リベラルタの沖縄出身の戦前移民者が中心となり、ボリビアに郷土沖縄から移民を呼び寄せる計画を立て、またこの計画に乗る形で、アメリカ軍に占領された沖縄で社会問題化した過剰人口と土地不足を移民で解消することを画策した琉球政府により、この地に入植した。だが沖縄から移住した人々は、現地に着いて愕然とする。まったくの原生林を与えられ、そこを切り拓けというのだ。だが移民一世たちは大河の氾濫、疫病に苦しめられながら荒野を切り拓き、遂に「コロニア・オキナワ」を造りあげた(「ヒストリア」のニュースリリース & Wikipediaより)。
◎沖縄を題材にした著作で、このサイトでご紹介しているのは、(出版順ではなく、私が読んだ順)
・「風景を見る犬(樋口有介著)」⇒こちらから
・「Juliet(ジュリエット/伊島りすと著)」⇒こちらから
・「水滴(目取真 俊著)」⇒こちらから
・「太陽の棘(原田マハ著)」⇒こちらから
・「スリーパー(楡周平著)」⇒こちらから
・「鬼忘(きぼう)島(江上 剛著)」⇒こちらから
・「あたしのマブイ見ませんでしたか(池上永一著)」⇒こちらから
・「テンペスト(池上永一著)」⇒こちらから
・「黙示録(池上永一著)」⇒こちらから
・「トロイメライ(池上永一著)」⇒こちらから
・「ほんとうの琉球の歴史(渡久地十美子著)」⇒こちらから
・「本屋になりたい」(宇田智子著)」⇒こちらから
・「ニライカナイの風」(上間司著)」⇒こちらから
・「トロイメライ 唄う都は雨のち晴れ(池上永一著)」⇒こちらから
・「豚の報い(又吉栄喜著)」⇒こちらから
・「祭祀のウソ。ホント(渡久地十美子著)」⇒こちらから
・「沖縄の新聞は本当に『偏向』しているのか(安田浩一著)」⇒コチラから
・「辻の華(上原栄子著)」⇒こちらから
・「宇喜也嘉の謎(渡久地十美子著)」⇒こちらから
・「ウィルソン沖縄の旅 1917(古居智子著)」⇒こちらから
・「武士マチムラ(今野 敏著)」⇒こちらから
・「本日の栄町市場と、旅する小書店(宮里綾羽著)」⇒こちらから
・「秘祭(石原慎太郎著著)」⇒こちらから
・「ユタが愛した探偵(内田康夫著)」⇒こちらから
・「崩れる脳を抱きしめて(知念実季人著)」⇒こちらから
・「沖縄『骨』語り(土肥直美著)」⇒ コチラから
・「天地に燦たり(川越宗一著)」⇒ コチラから
・「波の上のキネマ」(増山実著)」⇒ コチラから
・「神に守られた島(中脇初枝著)」⇒ コチラから
・「宝島(真藤順丈著)」⇒ コチラから
・「あなた(大城立裕著)」⇒ コチラから
・「入れ子の水は月に轢かれ(オーガニックゆうき著)」⇒ コチラから
・「ジョージが殺した猪(又吉栄喜著)」⇒ コチラから
・「桃源(黒川博行著)」⇒ コチラから
・「翡翠色の海へうたう(深沢 潮著)」⇒ コチラから
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背景の「読谷山花織」は、「ゆたんざはなうぃ」または、「よみたんざんはなおり」と読みます。琉球王朝のための御用布として織られていました。絶滅寸前だったものを、昭和39年に読谷村で「幻の花織」として復活しました。