風景を見る犬(樋口有介著)


風景を見る犬

『風景を見る犬』
集英社インターナショナル発行
1,890円

「風景を見る犬」。今年(平成25年)の8月に発刊された小説のタイトルである。著者は樋口有介氏。昭和25年、群馬県生まれ。平成2年に直木賞候補、平成23年から那覇市に在住と略歴にある。小説の舞台は那覇市。同市大道(だいどう---通称栄町)の売春宿の息子である男子高校生が主人公。彼の家とバイト先のゲストハウス兼食堂を中心にして、殺人事件の渦中の人間ドラマが繰り広げられる。タイトルは犬だが、本物の犬はどこにも登場しない。

殺人事件の謎解き推理小説なのだが、現在の沖縄が抱える日常的な課題、観光客も行かない沖縄のある地区(最近は、"るるぶ" に載ったせいか、行く度に観光客をよく見かけるようになった。29/03/20追注)の一面をとらえながら物語が進んでいく。ミステリーは、読んでいる途中で前のページを読み返すこともあるが、ストーリーがテンポよく、文体も軽妙なタッチなので、一度も戻ることなく一気に読み終えてしまった。

「沖縄の野菜は、何故まずい」とか、「沖縄人は、なぜ歩かない」、「駐留する米兵のランク」など、沖縄の日常や沖縄の裏側などのウンチクが語られているので、沖縄に移住しようとしている人や移住を考えているいる人には、おすすめできる。すでに住んでいる人は、実在の地名が出てくるので風景が目に浮かぶ。



◎沖縄を舞台にした著作で、このサイトでご紹介しているのは、(出版順ではなく、読んだ順)
  ・「風景を見る犬(樋口有介著)」⇒こちらから
  ・「Juliet(ジュリエット/伊島りすと著)」⇒こちらから
  ・「水滴(目取真 俊著)」⇒こちらから
  ・「太陽の棘(原田マハ著)」⇒こちらから
  ・「スリーパー(楡周平著)」⇒こちらから
  ・「鬼忘(きぼう)島(江上 剛著)」⇒こちらから
  ・「あたしのマブイ見ませんでしたか(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「テンペスト(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「黙示録(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「トロイメライ(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「ほんとうの琉球の歴史(渡久地十美子著)」⇒こちらから
  ・「本屋になりたい」(宇田智子著)」⇒こちらから
  ・「ニライカナイの風」(上間司著)」⇒こちらから
  ・「トロイメライ 唄う都は雨のち晴れ(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「豚の報い(又吉栄喜著)」⇒こちらから
  ・「祭祀のウソ。ホント(渡久地十美子著)」⇒こちらから
  ・「沖縄の新聞は本当に『偏向』しているのか(安田浩一著)」⇒コチラから
  ・「辻の華(上原栄子著)」⇒こちらから
  ・「宇喜也嘉の謎(渡久地十美子著)」⇒こちらから
  ・「ヒストリア」(池上永一著)」⇒こちらから
  ・「ウィルソン沖縄の旅 1917(古居智子著)」⇒こちらから
  ・「武士マチムラ(今野 敏著)」⇒こちらから
  ・「本日の栄町市場と、旅する小書店(宮里綾羽著)」⇒こちらから
  ・「秘祭(石原慎太郎著著)」⇒こちらから
  ・「ユタが愛した探偵(内田康夫著)」⇒こちらから
  ・「崩れる脳を抱きしめて(知念実季人著)」⇒こちらから
  ・「沖縄『骨』語り(土肥直美著)」⇒ コチラから
  ・「天地に燦たり(川越宗一著)」⇒ コチラから
  ・「波の上のキネマ」(増山実著)」⇒ コチラから
  ・「神に守られた島(中脇初枝著)」⇒ コチラから
  ・「宝島(真藤順丈著)」⇒ コチラから
  ・「あなた(大城立裕著)」⇒ コチラから
  ・「入れ子の水は月に轢かれ(オーガニックゆうき著)」⇒ コチラから
  ・「ジョージが殺した猪(又吉栄喜著)」⇒ コチラから
  ・「桃源(黒川博行著)」⇒ コチラから
  ・「翡翠色の海へうたう(深沢 潮著)」⇒ コチラから


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