渡久地十美子氏逮捕される


『祭祀のウソ・ホント』の著者として沖縄では著名な渡久地十美子(とぐちとみこ)氏が逮捕された。

このサイトでも神人(かみんちゅ)の著作として、たびたびご紹介している渡久地十美子氏が、2021/02/01の夜のニュース(沖縄テレビ)で逮捕されたと報道された。詳しい内容は不明だが、報道内容は次のとおり(下記に2/2の新聞記事の追記あり)。

本部町にある墓から石で出来たひつぎ=石棺2基を盗んだとして、83歳の霊媒師の女が逮捕された。
調べに対し「声が聞こえて導かれてやった。勝手に盗ったわけではない」と容疑を否認しているという。
逮捕されたのは那覇市の霊媒師、渡久地十美子容疑者で、おととし6月23日、本部町にある墓から石棺2基(計200万円相当)を盗んだとして窃盗などの疑いが持たれている。
報道によると、渡久地容疑者は、60代の男性が所有する墓から知人2人とともに運び出したということで、その様子を現場にいた複数の人が目撃していたため発覚した。墓は渡久地容疑者いわく「琉球王朝時代のもの」とし、盗む際に石棺内に入っていた遺骨は墓に残し、棺のみを運び出したという。石棺は渡久地容疑者の関係者の自宅敷地内から1基は発見されたが、もう1基はまだ見つかっていない。
警察は渡久地容疑者から任意で事情を聞くなどして捜査を進め、1日、容疑が固まったことから、本部町にある御嶽(うたき)を訪れていたところを逮捕した。
調べに対し、「石棺を勝手に盗ったわけではない」と容疑を否認している。警察は、渡久地容疑者とともに石棺を運び出した知人2人からも事情を聞くなどして、詳しいいきさつを調べることにしている、というもの。

以下、2021/02/02《追記》 沖縄タイムスより=「沖縄県警の本部署は1日、他人の墳墓から二つの石棺を盗んだとして那覇市の霊媒師の女(83)を墳墓発掘、窃盗の両容疑で逮捕した。「この墓の神様が私を導いた。勝手にはやっていない」との趣旨を話しているという。他に2人の共犯者がいるとみて捜査を継続する。
本部署や捜査三課によると、2019年6月23日午後2時ごろ、師弟関係にある別の2人と共謀して本部町内の他人の墳墓から石棺二つ(時価合計200万円相当)を盗んだ疑い。石棺の中の人骨を取りだし、ひつぎのみを墓から運び出したという。19年11月ごろ、墓を管理する被害男性から”墓が勝手に荒らされている”と被害相談があった。犯行を目撃していた関係者などへの聴取から容疑者が浮上した」=新聞には氏名は伏せられている。



fnnニュースより
FNNニュースで流れた墳墓の画像、場所は特定されていない
《追記》この墓の写真は、本部町渡久地にある大米須親方(うふこめすうぇーかた)の墓であることが分かった。
なお、大米須親方は、第二尚氏の祖、尚円王の義兄で、伊是名島から首里へ上り、第一尚氏最後の王、尚徳王に仕え、
尚徳の死後、首里を離れて渡久地に暮らしたと、「ブログ・九州、沖縄ぐるっと深訪」にあった。


2021/02/04《追記》 その後、この事件の続報が報道されておらず、捜査関係者でないと詳細がわからないので、石棺について私が分かる範囲内で補足させていただいた。石棺が盗まれたというと、本土の方はエジプトの長い棺や人型のものを連想されるると思うが、二人で運び出せるものなら、石でできた長方形の棺ではないように思われる。
県民カレッジ美ら島沖縄学講座の資料によると、沖縄では近世まで風葬が行われており、火葬は一般的ではなく、洗骨と呼ばれる、遺体の骨を洗って骨壺に納める風習があった。その骨壺は厨子甕(ずしかめ)と呼ばれている。厨子甕には王家の墓に見られるような板厨子、石厨子と呼ばれる家の形をしたものや陶器製の丸い壺や角型をしたものまである。今回運び出された物がどんなカタチのものなのかは分からないが、二つで時価200万円もするものなら歴史的に価値のあるものなのだろう。また、厨子甕といわず石棺という言葉を使っているので、年代的に新しい陶製ではなく、相当古いものだったのかもしれない。今回の報道とは関係ないが、沖縄の石棺、厨子甕を写真でご紹介する。

《追記》渡久地十美子さんという具体的な名は記されてないが、奥茂治さんのFace bookによると、遺骨を盗んで逮捕された方は不起訴になったと書かれていた。なお、渡久地さんは、私が沖縄の歴史に興味をもったキッカケになった方だったので、この報道の後、新聞社に知りたいワケを話して問い合わせをしたが、「その記事は北部の記者が担当しているので私は詳しく知らないが、名護に問い合わせされても、個人情報なのでお答え出来ないと思います」と言われた(おそらく、そう言われるであろうとは思っていたが…)。

厨子甕 厨子甕
浦添ようどれ内の王家の石棺(レプリカ) 浦添市歴史にふれる館内の厨子甕

このサイトの渡久地十美子氏関連のページは次のとおり。
  ・「祭祀のウソ・ホント(渡久地十美子著)」⇒ こちらから
  ・「宇喜也嘉の謎(渡久地十美子著)」⇒ こちらから
  ・「ほんとうの琉球の歴史(渡久地十美子著)」⇒ こちらから
  ・「ニライカナイの風」(上間司著)」⇒ こちらから 著者名は上間司だが、渡久地十美子氏のペンネームで出版


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背景の「八重山ミンサー織」は、主に石垣島と竹富島で生産される織物です。最大の特徴は、五つと四つの絣に「いつ(五つ)の世(四つ)までも、末永く・・・。」という、女性から男性への想いが込められていることです。詳しくは ⇒ コチラから