敷金・礼金なしのカラクリ


転居を計画してから1年が経つが、なかなか気に入った物件が見つからない。その間、内覧会やあらかじめ依頼しておいた不動産会社からの連絡で何ヶ所も見学した。そうすると、各社の営業マンとも懇意になる。彼らは自分の会社に不利なことは話さないが、他社のことは結構、ストレートに話してくれるので、いろいろな情報を入手することができる。

そのなかで、驚くようなことがあった。賃貸借契約をすると敷金、礼金が発生する。普通は、敷金1ヶ月、礼金1ヶ月とか、礼金は0円だが敷金2ヶ月という物件が多いようだ。ところが最近、ネット検索をしていると、敷金、礼金なしという物件が目に付くのである。建物が古いと、そういうところもあるが、新築で敷金、礼金なしといわれると、ついつい興味を引かれて詳細を見てしまう。こういう物件は、営業マンからの情報では、なかには危険なケースもあるという(すべて危険ということではないので、誤解のないように)。

ケース 1 … 敷金、礼金は0円だが、毎月、別の名目で数千円の費用を徴収する。名目を具体的にすると、どこの不動産屋なのか明らかになるので明記しないが、月に数千円でも1年で数万円、3年もすれば、敷金1ヶ月に相当する。初期費用が少なくて済むので悪質とまでは言えないが、6年住むと敷金2ヶ月分に相当する。結果として6年以上住むと過払いとなる。つまり、敷金以上の金を払うことになる。敷金は帰ってくることもあるが、別名目の費用は、一切帰ってこない。さらにこの会社は、共益費とは別に衛生費の名目で家賃とは別に1,000円/月を徴収する。「衛生費とは何か?」と聞いたら月に1回、階段、廊下の共用部分の清掃をする費用だそうだ。

ケース 2 … 沖縄では退去するときの部屋の清掃は専門業者が行い、その費用は、賃借人が負担するのが一般的だとか。○○建託は、入居時に5〜6万円の決まった金額を先払いする。ところが、後払いの不動産屋の中に法外な金額を請求する会社があるという。敷金、礼金なしでも、退去時に家賃の数ヶ月分の金額を支払わされるというのだ。不動産屋に払う金は銀行引き落としなので、払いたくなくても引き落とされてしまう。その内訳は、洋室の壁紙を、すべて張り替える。畳は畳表の張替えをする。損傷が激しいと新しい畳に入れ替える。それにエアコンの清掃費、部屋の消毒代、網戸の張替えなどなど。合計すると家賃の3ヶ月以上になってしまう。

「ホンマかいな?」と聞きなおしたのは、鍵の取替え代を、新旧、両方の賃借人に請求する不動産屋があるそうだ。新賃借人に請求する不動産屋はあるが、退去した人から取るのは初めて聞いた。「退去する人は怒るんじゃないの?」と聞いたら、明細は見せないので分からないと言うので、私なら「明細を見せてくれと言うよ」と言ったら、見せても「諸経費」に含めるので、鍵代とは分からないのだそうだ。鍵の取替え費用は賃貸人(大家)が負担するものだよ。まるで、ぼったくりだね。「それ、どこの会社?」と聞いたら、言い過ぎたと思ったらしく「そこまでは言えません」。まぁ、聞いても、このページには実名では書けないけれど。

本土でアパートを借りた経験がないので。こういうことが全国的に同じなのか、沖縄だけの特殊事情なのかは分からないが、こんな具体的なことまで契約書には記載してないので、実際に退去するときになってみないと何を請求されるのか分からない。銀行口座番号を押さえられている分だけ賃借人は立場が弱いなぁ。

=NEW=
《追記》今日の午後、散歩で2時間ほど歩いてきた。沖縄ではGWが終わる頃、梅雨入りする。今年は、5月7日頃だろうと気象予報士が言っていた(実際は、平年より11日遅い20日だった)。梅雨になると歩ける日が減るだろうと思い、いつもは、往復1時間のところ、今日は、片道1時間歩いたところで、引き返そうと思って歩き始めた。

一度も歩いたことのない地域だったが、本通りから中の路地に入ったら、「敷金、礼金ゼロ円」の新築アパートがあった。ちょうど、その不動産会社の社員が、残り2室の張り紙をしていた。「ひやかし」半分で話しかけてみた。そのときの私の服装は、大きな帽子を被って首からタオルをかけ、腰にはペットボトルをぶら下げていた。そのカッコウを見て、家を見に来た客とは思わなかっただろうが、その社員は力説していた。「最近、敷金、礼金ナシの物件は多いですが、うちは他とは違いますよ。火災保険料も保証会社の保証料も要りません。最初の家賃だけで入居できますよ」と。

私は、にこやかな表情で質問してみた。
私「じゃあ、仲介手数料もタダなの?」
社員「エッツ、(ちょっと間をおいて)それは、いただかないと商売になりません」
私「じゃぁ、1年未満で退去したらどうなるの?」
社員「エート、そういうときは、1ヶ月分の家賃相当額をいただくことになっています
私「更新料もタダ?」
社員「そ、それは、いただきます
私「ゼロゼロ物件は危険だと言う人もるけど?」
社員「そんなことはありません。オタク、ひょ、ひょっとして業界の人?
この会社は、テレビでCMを流しているくらいの会社なので聞いたのだが、最後は警戒されてしまった。そんなつもりでは、なかったのに…。

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