御花米とは?


「御花米」をご存じだろうか。読みは「はなぐみ」と読む。沖縄口(うちなーぐち)の発音は、「お」の段は「う」の段に。「え」の段は「い」の段になる。従って「こめ」は、「くみ」と発音する(詳しくは ⇒ コチラから)。「花米」を「はなぐみ」と和語読みし、「御」が頭についているので「おはなぐみ」と読みたいところなのだが、「お」の発音は省略されている。

私の沖縄生活も8年目に入ったが、「御花米」というのは、初めて聞く言葉である。では、「御花米」が何かというと、沖縄伝統のお正月飾りのことで、仏壇や床の間に供えられる。これにお酒を供えて年神様をお迎えする。

下の写真をご覧いただきたい。三宝の上に洗っていないお米(新米)を盛り上げ、炭、昆布、ミカンを載せてある。「御花米」を載せた三色の紙は、赤は太陽を、黄色は月を表す。白は神様への願い事をかけるためといわれている。

御花米


西大学院の西大八重子院長は、週刊レキオ誌のなかで、今は沖縄の正月も本土と同じに鏡餅を供えるので、「御花米」を見ることは稀だそうだが、古くは、重箱に米を盛り上げ、炭を立て縦結びにした昆布、ミカンを載せ、正月なのでお屠蘇を添えたと語っておられる(写真はレキオ誌から)。

「御花米」をネットで検索すると「みはなぐみ」という女性のデュオがヒットする。照屋林助さん(注)の曲をカバーしているらしいが、聞いたことはなく、このサイトでご紹介した「御花米」とは関係なさそう。

《ご参考》一般的な沖縄の正月飾りを「絵で見る御願(うぐゎん:むぎ社編)」から ご紹介する。
赤、黄、白の三枚重ねの色紙を用意する。これをウカリーといい、その上にもちの三段飾りと昆布で巻いた炭、橙を三組乗せる。これをウチャヌクという。これを火の神、仏壇、床の間に飾る。色紙の赤は健康、黄は黄金、白は運勢をあらわす。色紙に乗せる炭は家の繁栄、橙は代々栄える縁起をかつぐ。橙は、最近はみかんで代用する。

また、沖縄には「うぐゎんぶとぅち」という行事がある。「うぐゎん」は、漢字で書くと「御願」である。旧暦の12月24日、各家庭の火の神(ひぬかん)が厄を預かって天に里帰りする日で、洗米をお供えし、線香を焚いてお見送りする。そのお供えの米の中にお金を入れる。この米を花米(はなぐみ)という。 入れる金額は、地域や家庭によって異なる。一旦、天に帰った火の神は、旧暦の1月4日、火の神迎え(ひぬかんうんけー)に戻ってくる(「うぐゎんぶとぅち」についてはHP「コノイエ」などを参考)。火の神について詳しくは、⇒ コチラから

(注)照屋林助…音楽家、漫談家、沖縄ポップの祖。息子はりんけんバンドのリーダー・照屋林賢さんで、孫にガレッジセールのゴリ、姪孫にモデルの知花くららさんがいる。

◎このサイトの沖縄の正月関連は、
・ 沖縄県人はおせちを食べない ⇒ コチラから
・ 沖縄のしめ縄 ⇒ コチラから
・ 沖縄県人のお賽銭はシビア?⇒ コチラから
・ 沖縄県人の年賀状を出さない?⇒ コチラから
・ 沖縄手帳 って何?⇒ コチラから
・ 沖縄の正月は4回ある ⇒ コチラから

ナビゲーションはトップページにあります。⇒ TOPページへ

背景の「読谷山花織」は、「ゆたんざはなうぃ」または、「よみたんざんはなおり」と読みます。琉球王朝のための御用布として織られていました。絶滅寸前だったものを、昭和39年に読谷村で「幻の花織」として復活しました。