ハブのいない島


沖縄には猛毒を持つハブがいる。本土のヘビと違って、冬でも動きが鈍るだけで、冬眠しないそうだ。私も街を歩いているときには意識することはないが、郊外の茂みの中やサトウキビ畑の傍を歩いていて、ガサガサと物音がすると緊張する。沖縄県民でも過剰な恐怖心を抱いている人も少なくないそうだ。と言うのも、50年前には1年間におよそ500人の人がハブに咬まれ、死亡する人もいたからである。今でも年間60人前後が被害にあっている。ただし、治療法が改善されたため、平成11年以降、亡くなった人は出ていないそうだ。(下表をご参照、沖縄県衛生環境研究所HPより)。



ハブ資料


東京沖洲会によれば、沖縄県でハブがいない島は、宮古島、津堅島、久高島、奥武島、粟国島、座間味島、南大東島、北大東島、伊良部島、下地島、大神島、池間島、多良間島、水納島(宮古諸島)、来間島、鳩島、由布島、与那国島、波照間島で、同じ慶良間諸島でも渡嘉敷島にはいるが、何故か、すぐ隣の座間味島にはいないという。奄美諸島でも、沖永良部島、与論島には生息していないそうだ(粟国島では2017年以降、2021年8月までにハブの発見が55例あり、県の衛生環境研究所は、粟国島にハブが定着した可能性が高いと判断した)。

昔から宮古島にはハブはいないと言われてきたが、平成25年4月、宮古島市の「ひらりん公園」で昼食を摂っていた男性が、体長44センチのヘビを発見し、素手で捕獲した。調べてみたらサキシマハブだった。宮古島にはいないはずのハブが発見されたので、島は大騒動になった。原因は、大学の先生によると「おなかに卵を持った雌が運び込まれた後に卵を産んだか、個体が荷物に紛れて入ってきた可能性がある。生態系への影響については、繁殖集団として定着して初めて出てくるものなので、今回は影響が出る可能性はものすごく低い」と推測している。なお、捕獲されたサキシマハブは、生後半年から1年半の若い固体で、宮古保健所で冷凍されたという(沖縄タイムス、琉球新報より)。しかし、ハブを捕獲した男性も、ハブとは思わず素手で捕まえたそうだが、あとでハブだと知って驚いただろうねぇ。

沖縄の方から聞いた小咄を一題。ある人が、畑でヘビに出会った。ハブかどうか分からなかったのでヘビに聞いてみた。「お前は、毒を持っているかい?」。そのヘビは答えた。「イエス アイ ハブ」。‘jj’

《追記》沖縄県では、平成11年以降、ハブによる死亡例はないが、平成26年4月、奄美群島の加計呂麻(かけろま)島で、草刈りをしていた男性がハブに咬まれて亡くなった。この男性は咬まれたあと、自分で車を運転して診療所に行ったと報道されていた。咬まれた後、安静にしないで動き回ったのがいけなかったようだ。なお、奄美でハブによる死亡は、10年ぶりのことだった(サンケイWebなどより)。
なお、ハブに咬まれる人が多いのは5,6月と秋口で、沖縄県警に110番による捕獲要請は、平成27年度は622件あったという(琉球新報より)。


《ご参考》那覇市では、ハブに咬まれたときの治療費の助成制度があり、ハブの咬傷届けを出すと治療費の自己負担分のうち1万円までは、市が負担してくれる。金額は違うが、うるま市など他の市町村の一部でもあるそうだ。

《追記》 ハブ注意報発令!5月1日 〜6月30日までの予定
沖縄県は、ハブの活動が活発になっているとして、昨年に引き続き、今年(2019)も5月1日「ハブ注意報」を発令した。
正式名は「ハブ咬症(こうしょう)注意報」という。ハブは気温が27℃前後、湿度が70パーセントから80パーセントになると活動が活発になるという。沖縄では、GWが明けると梅雨入りし、こういう日が続く。ハブにとっては絶好の活動シーズンというワケだ。昨年(平成29年)は一年で61人の方がハブにかまれた。また、110番による捕獲要請は、622件(平成27年)あった。死亡例は、ほとんどなくなっているが、かまれると後遺症に悩まされる例があるという。沖縄在住の方はもちろん、来訪される方、田畑や山野への出入りや夜間に歩行する際(ハブは夜行性)には、十分、お気をつけを。観光地でも、決められた園路以外を歩かないように。
万が一ハブに咬まれた場合は、@ 落ち着いて、A 身近な人に助けを求め、B 救急車を呼んで医療機関で治療を受けること。そして、C むやみに動き回らないようにと呼びかけている(TVニュースなどより)。


 ◎このサイトで、ハブ関連は、
・「ハブとマングースの決闘」⇒こちらから
・「ハブが出たぁ〜」⇒こちらから
・「粟国島にハブ定着か?」⇒こちらから
・「宮古島でハブ発見」⇒こちらから

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