屋号


本島中部にあるサークルと交流会を行った。ほとんどが年配者なので、和気あいあいとした雰囲気で行われた。そのとき、相手のサークルの人たちは、お互いを呼ぶとき、苗字ではなく、名前で呼んでいた。それも男女とも、ほとんど呼び捨てだった。

その日、やってきた9人のうち5人は同じ苗字だったので、「親戚同士ですか?」と聞いたら、「昔は、そうだったかもしれないねぇ〜」という返事。そのサークルには、他にも同姓の人が3人いるので、日ごろから苗字ではなく名前で呼んでいるとのこと。

相手を直接呼ぶときには使わないが、『屋号(やーんなー)』を使うこともあるという。屋号と言っても商売をしているわけではなく、それぞれの家につけられた符丁というか、ニックネームのようなもの(海老蔵を成田屋と呼ぶのと同じ)。沖縄には、一つの地域には同じ姓の人ばかりが住んでいることが多く、そのため、今でも屋号を使うことがあるという。

屋号のつけ方は、その家の方位、職業、名前、出身地、血縁などに由来することが多いそうだ。新聞の死亡公告を見ると名前のほかに屋号が併記されていることがある。今日の新聞を見たら、一目で由来が想像できる屋号もあった。四男(ゆなん)、東(あがり)、前(めーぬ)、新屋(みーや)(この字を見て、昔々のことを思い出した。小学生のころ、父親の実家に行ったとき、近所の人に「新屋の☆☆さんの息子か?」と聞かれたことがあった。「新屋」は私の実家の屋号だった。読みは「あらや」だったが・・・)。

屋号は漢字で書いてあると、何となく意味が分かる。おもしろいといっては失礼だが、こんな屋号もある。井戸の西側 (わかりやすい)、前山城○代目三男(長〜い)、後ヌ上〇良三男〇助(もっと長い)、大〇入瀬〇三〇ヌ二男(今まで見た漢字の屋号で一番長い)、東親雲上 (王国時代の士族)、横目(元警察官の家、横目でにらむ?)、フランス・ハワイ屋(洋行帰り?)、 マリヤ・ベーカリー(モダン)・・・。私は見たことはないが、本島中部の中城(なかぐすく)村には屋号の電話帳があるとか。また、郵便が屋号で届く地域もあるそうだ。

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