沖縄の名前(苗字)


知り合いに「なかち」さんという方が3人いる。ただし、漢字はそれぞれ異なる。「仲地」、「中地」、「名嘉地」である。仲地さんと中地さんは、私と同じサークルのメンバーで、この違いについては仲地さんが詳しかった。琉球王朝の時代に、国王の世継ぎが「中城王子」と称したとき、 姓や地名に「中」の字を使用することが禁止された。つまり「中」は高貴な字であるから、王家以外の者が使ってはいけないとされたことで、それまで中地だったのを仲地と改めたそうだ。同様に中村→仲村、中松→仲松、田中→田仲となった。ボランティア先の名嘉地さんは、ご先祖が豊見城出身だとか。豊見城には名嘉地という地名がある。本土でもそうだが、沖縄の名前は、地名を由来にしていることが圧倒的に多いそうである。

沖縄には三文字の姓の人が多い。それにはワケがある。Wikipediaによると、琉球王国が、薩摩潘に支配されたときに“大和めきたる名字”の使用が禁止された。そのため、日本風の姓は改姓するか、三文字姓にされた。たとえば、前田→真栄田、横田→與古田、福原→普久原、徳地→渡久地などのように。

また、図書館の資料にあったのだが、第二次大戦を境にして、名前の読み方が変わったそうだ。たとえば、沖縄で一番多い姓である比嘉さんは、戦前までは「ひじゃ」とか「ふぃじゃ」と読んだが「ひが」に。二番目に多い金城さんは、「かなぐしく」→「きんじょう」に、三番目の大城さんは「うふぐしく」→「おおしろ」、五番目に多い名前の新垣さんは「あらかち」→「あらがき」に、七番目の上原さんは、「うぃーばる」→「うえはら」へと、このときは大和めきたる読み方に変わった。

他のサークルとの交流会で出会った新垣さんは、自己紹介で「私は”あらがき”ではありません。”あらかち” です」と強調していたが、そのサークルの皆さんは、誰も”あらかち”さんとは呼んでいなかった。そのサークルの会長さんに、本当はどちら?と聞いたら、「”あらかち”なんて、今どき、そんな面倒くさい読み方は、誰もしないさぁ〜」と言っておられた。そういえば40年以上前のことだが、私の勤める会社に入社してきた仲村渠さんは、「”なかんだかり” では、面倒でしょうから ”なかむら” と呼んでください」と言っていたことを思い出した。確かに呼びにくかったが、誰も略したりはしなかった。

このサイトのどこかのページにも書いたのだが、あなたがコチラに移住してきて、沖縄の人に対して「変わったお名前ですね」などと、決して言ってはならない。沖縄では、あなたの名前の方が珍しい。

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