「芭蕉布」歌詞の意味


観光で沖縄に来ていたとき、だいたい2泊3日の行程だったので、どのバスガイドさんも沖縄の歌をたくさん歌ってくれた。そのなかで、特に印象深かったのは「芭蕉布」と「ティンサグの花」だった。美しく、かつ物悲しい調べに、聞くたびに、いい歌だナァと思っていた。

本土に帰ってスナックに行くと、「芭蕉布」の歌がカラオケにあった。ママさんに「この歌を歌う人いるの?」と聞いたら、歌う人はいないが、沖縄に旅行に行った人から、よく歌ってくれとリクエストされるそうだ。他のお客さんがいないときにママさんに教えてもらった。1番、2番の歌詞は理解できるが、3番の歌詞の意味がよく分からない。ママさんも歌えるけれど意味は知らない。教えてくれる人もいないので、分からないまま、こちらに転居した。

入会したサークルの宴会の2次会は必ずカラオケだが、こちらでは、この歌を歌う人がなかなか現われなかった。あるとき、メンバーの方に「芭蕉布は歌わないのですか?」と聞いたら、「皆んなが知ってる歌だから、カラオケでは歌わないサァ〜」と言われてしまった。なるほど、そういう訳かと思っていたら、先日、サークルの方の退院祝いをカラオケ店で行ったとき、76歳の方が この歌をお歌いになった。その方から意味を教えてもらったので、ご紹介したい。歌の歌詞は、そのままHPに掲載すると著作権法違反になるので、部分的に掲載させていただく。

3番の歌詞は、「今は昔の 首里天ぢゃなし」で始まる。私は、「今の首里天は、昔の首里天ではない」という意味だと思っていた。全く違っていた。漢字で書くと「今は昔の首里天加那志」で、「首里天」とは琉球の国王という意味。「加那志」とは敬称で「〜様」という意味。したがって「首里天加那志」は「琉球国王さま」という意味だと紙に書いて教えてくれた。読み方は「シュ(ス)イティンガナシ」あるいは「シュ(ス)イティンヂャナシ」と読むが、夏川りみさんも石嶺聡子さんも、後者で歌っている。

芭蕉布
画像は、「you tube」より

「唐(とう)ヲゥー紡(つむ)ぎ」の「唐ヲゥー」とは、芭蕉の繊維のこと。「上納」は年貢。「浅地(あさじ)紺地(くんじ)」とは藍染めの染色濃度を表す表現で、沖縄では昔から、藍の色は濃いほど美しいとされ、「浅地」は情けの薄さや未熟さを意味するとか。「我した島沖縄(わしたしまうちな〜)」は、「私たちの故郷 沖縄」である。

意味が分かり、数十年来の胸のつかえが取れた。沖縄では、皆さんが知っている歌なので、私が沖縄の人の前で歌うなど、そんな大それたことは決してしない。

・ 歌詞を1番から3番まで、通してご覧になりたい方は ⇒こちらから。この歌詞の背景にあるのは、芭蕉布ではありません。
・ 芭蕉布とは、バショウという植物の繊維で織った布のこと。詳しくは ⇒こちらから。
・ 歌をお聞きになりたい方は、上の画像を左クリックしてお聞きください。急に音が出ますので深夜、早朝はご注意を。CMだ出たらスキップしてください。那覇空港と首里を結ぶ「ゆいレール」の車内でも、「儀保(ぎぼ)駅」到着時のメロディーに使われています。詳しくは ⇒コチラから

◎このサイトの沖縄の歌関連は
 ・「チンダラカヌシャマヨ」って、どういう意味? ⇒ コチラから
 ・「ハイサイおじさん」 ⇒ コチラから
◎芭蕉関連は
 ・「バナナと芭蕉」 ⇒ コチラから

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