沖縄に仕事はあるか?


最新の《追記》は一番下にあります。



------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

"沖縄には仕事がない" と、よく言われる。私のように定年退職してから来る人間には、それほど問題ではないかもしれないが、現役世代には切実な問題なので申し上げたい。

本当に仕事がないのか?。沖縄県の平成25年10月現在の有効求人倍率は、0.58倍である。(全国平均が0.98)。年初の0.46倍に比べれば好転しているものの確かに少ない。0.58倍なら2人に1人は、仕事があるじゃないかと思う人もあるかもしれないが、この求人の中には、非正規採用をはじめ、ほとんどの人が見向きもしない仕事や、求人はしているが、補助金目的や職安に対するポーズだけで、採用するつもりがない企業の求人も含んでいるので、実際は、さらに厳しいだろう。また、求人票には年齢制限は書いていないが、若年層しか採用しない企業も多い。したがって、現役世代の人が生活していけるだけの給料を出してくれる求人には、希少な資格やスキルを持っていない限り、なかなか、めぐり合えないかもしれない。

平成25年9月末現在の沖縄の高校生の内定状況が発表された。それによると、来春の高校卒業予定者15,856人。就職希望者が何名なのかデータはないが、就職が内定しているのは204人だそうだ。その内、県内企業への内定者は、わずか49人。縁故、地縁、血縁がある沖縄県人、それも新卒者でも苦労しているのだから、就職の当ても無しに移住することだけは避けたい。私がボランティア活動をしている団体に、短期雇用の嘱託職員がおられる。傍目に見ても優秀な人だと思うが、琉球大学を卒業して6年半も経っている。公務員系を希望しておられると聞いたが、未だ、就職先が見つからない。NETには、「来れば何とかなる」とか「探せば仕事は見つかる」と無責任に書いている移住サイトもあるが、信じてはいけない。

正社員でなくてもいい。給与、待遇に気にしない。採用してくれるなら条件は問わないというなら仕事はある。時給は664円からである。しかし、それでは家族があったら生活できない。「後は野となれ山となれ」では、ぬかるみに足を踏み込むことになる。

《追記》新聞によれば、平成27年11月、全国の有効求人倍率の平均が1.25倍と23年10ヶ月ぶりの高水準だった。沖縄県でも0.91倍と復帰以降で最高水準だった。といっても全国で下から2番目である(最下位は鹿児島県の0.9倍、以上、沖縄タイムスより)。2年前に0.58倍だったことを考えれば、かなりハイスピードで好転している。しかしこれは、非正規の求人も含んでいる。つまりパート、アルバイト、派遣、嘱員、嘱託、契約社員、臨時、期間限定なども含んでいるので、求人倍率が好転したといっても正社員で採用される人は限られるだろう(正社員の求人は、総求人数の3割しかない)。ちなみに沖縄県の職業安定所(ハローワーク)に勤めている人のうち、正規雇用で働いている人は、わずか28.7%である。これは全国の都道府県でも最低。肝心のお膝元がこれでは、正規雇用への道は容易ではない。なお、平成27年11月現在の沖縄の最賃は693円だが、これは、鳥取、高知、 宮崎の3県とともに全国最下位である。

《追記》 平成29年8月の有効求人倍率は1.11倍で、11か月連続で1倍以上となった。沖縄労働局は「観光を中心とした県内の好調な景気を反映して雇用情勢も着実に改善しているが、産業全体で非正規の割合が全国に比べて高い」と言っている。では、最新の一人当たりの県民所得を都道府県別ランキングを見てみよう。1位は東京都で4,508千円、2位は愛知県で3,579千円、3位は静岡県で3,326千円だった。そのあとは省略して45位が鹿児島県で2,399千円。46位が鳥取県で2,337千円。そして最下位の47位が沖縄県で2,102千円だった。沖縄と人口が同じくらいの滋賀県が8位で3,138千円と比べると100万円も低い。この結果は、正規雇用の割合が いかに低いかを証明している(数字は「統計でみる都道府県のすがた2017」より)。

NEW
《追記》沖縄県の最賃 全国最下位を脱す
沖縄労働局は県内の最低賃金を平成30年10月3日より時給を762円にすると発表した。現行は737円なので25円アップする。引き上げ額は過去最大となる。なお、全国平均は874円(26円up)で、最高額は東京都の985円(27円up)。沖縄をはじめ青森、岩手、秋田、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎の11県が762円で並び、最下位は鹿児島県の761円。

永らく最下位だった沖縄は、わずか1円だが最下位を脱した。とはいうものの、全国平均より100円以上低く、その差は広がる一方。喜んでばかりは いられない。 (--、)


  ナビゲーションはトップページにあります。

   TOPページへ