いちゃりば ちょーでー


ラジオの全国放送で、女性登山家の講演を聞いた。この登山家は、エベレストに2回も登った著名な方なので、興味を持って聞いていた。

しかし、話が進むにつれて、だんだん、嫌気がさしてきた。ひとつは、「世界の山に20以上登ったが、普段、トレーニングはしたことがない」とか、「どんな悪条件でも辛いと感じたことはない」などは、山登りをする人特有の山自慢なので、よくあることだ。しかし、彼女いわく「エベレストから下りるとき、すれ違う人が、皆、"おめでとう"という。どうして登頂できたことが分かったのか不思議に思っていたら、ベースキャンプで野口健君が、登頂が成功したことを発信し、日本にも知らせたというお節介なことをしたからだった。こっそり登って、こっそり下りるのが私のスタイルなので、余計なことをしてくれた。なかには祝福してほしいという人もいるようだが・・・」という意味のことを言ったのだ。はじめは冗談かと思ったが、「こっそり登って・・・」は、繰り返したので本気のようだった。この女性登山家は、素直に感謝の気持ちを表すことの出来ない方のようだ。野口さんは、悪気があってしたことではないし、むしろ祝福の気持ちだったのだろう。全国ネットの公共放送で、名指しで非難された野口さんも、このことを聞いたら不快に思うだろうなぁ。

《田部井さんでも山登りは辛い》女性登山家の田部井順子さんには、どういう訳か3回もお会いしたことがある。いや、見たことがある。山で偶然に2回、講演会で1回。ホントに この人がエベレストにと思うほど、華奢な方だった。彼女は山登りをしているときのことを、こう言っている。「苦しい、一歩、一歩が本当に苦しい。でも、その苦しさが、生きてる証だ」と。私も山登りをしている。登る山は違っても、それが、山登りをする人のホンネだと思う。苦しさの後に、登頂の喜びが待っているから山に登るのだ。田部井さんは平成28年、故人となられた。ご冥福をお祈りする。

沖縄の人たちは、おおむね親切である。ときには、それが強すぎて煩わしいと思うこともある。しかし、それは人を思いやる気持ち、やさしい気配りからきているのだから、素直に感謝の気持ちで相対するのが人として当たり前のことである。沖縄に来ると、この地方の独特の温かみのある親切、深い人情、人柄のよさを感じることだろう。

沖縄のことわざに「行逢りば兄弟 (いちゃりば ちょーでー)」 がある。これは、沖縄民謡『兄弟小節(ちょうでぇぐゎぶし)』(作詞:前川朝昭/作曲:屋良朝久)の歌詞の一部で、その歌碑が、与那原町(よなばるちょう)の東浜(あがりはま)にあり、こう記されている。この台詞は、沖縄の先人たちが常に持ち合わせていた美しい心である。「出会った人は、皆、兄弟と思い、慈しみ合いなさい」との先人の教えで、万人友好と永久平和を愛する願望である。(HP「沖縄の心(しまぬくくる)」より)

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