沖縄にも富士があった



本部富士


日本の代名詞ともいえる富士山。日本全国にあるのが郷土富士と呼ばれる〇〇富士。有名なところでは蝦夷富士(羊蹄山)、津軽富士(岩木山)、薩摩富士(開聞岳)などがあるが、ネットで検索すると、こういう「ふるさと富士」は、全国に400以上あるといわれている。行ったことはないが、アメリカのワシントン州にはタコマ富士があり、ニュージーランドにはタラナキ富士があるという。さて、沖縄県には何富士があるだろう。

沖縄には、本部富士(目良山=みらむい、250m)と塩屋富士(317m)の二山ある。どちらも本物の富士山の高さの10分の1もない可愛い山である。本部富士は、本部町にあり、美ら海美術館に行くとき近くを通るので、富士に似た形のよい山(上の写真)を見たことのある人もあるだろう。塩屋富士は、本部富士より北の大宜味村(おおぎみそん)にあり、国道58号線から見えるが、連なる山の一つなので、位置を知っていないと分からないだろう。

さて、沖縄では5つの城(ぐすく)と4つの遺跡(遺構)が、平成12年に世界遺産に登録された。それに遅れること13年。平成25年6月に富士山が世界遺産の文化遺産に登録された。私は20歳代の後半に一度、富士山に登っている。その頃は、「富士山に一度も登らない××と二度登る××」といわれていたこともあり、中学時代の友人を誘って行った。××は、あまり、推奨された言葉ではないので、あえて伏字にした。意味は、「遠くで眺めて美しい山である富士山には、一度は登らないと分からないが、ゴミでいっぱいの汚い山にしんどい思いをして 二度登る価値はない」ということを言い表した言葉である。

富士山の世界遺産登録が、こんなに遅れた訳は、登ってみてわかる山の汚さに原因があったのだろう。トイレの周辺は悪臭がひどく、ゴミは散乱し、登山者はトイレ以外の場所にも屎尿を残してゆく。また、数少ないトイレは直下式で、山小屋のトイレからあふれた糞尿と用を足した紙が山肌に流れ出て帯状になっていた光景は異様だった。今は、バイオトイレの普及で、かなり改善されたようだが、世界遺産になった今でも、もう一度登りたいとは思わない。富士山は、遠くで眺めるから美しいのだ。

世界遺産に登録されたことにより、今後、押し寄せるだろう観光客(現在は260万人/年)と登山者(同32万人/年)対策、入山にふさわしくない登山者への対応、入山料の是非、ゴミ処理、車の排ガス対策、景観維持、相反する保全と開発問題など、課題も多い。個人的な意見だが、富士山を、これ以上、観光地化させないために、
1.富士山スカイライン、富士スバルラインへの一般車の通行規制を行う(立山or乗鞍方式)。
2.高額な入山料を科す(ただし、徴収機関を公務員の天下り先にしない。また、平成25年は@1,000円で、支払いは任意になるそうだが、これでは全く意味が無いだろう)。
3.1日当たりの入山者数の制限を行う。
しかし、屋久島や白神山地が自然遺産登録なのだから、富士山も当然、自然遺産だと思うが、文化遺産登録になったのは、自然遺産としては認めてもらえない諸事情があったと新聞で読んだ。何としてでも、まずは登録ありきだったのだろう。


《注》---文中の観光客数、登山者数などは、いずれもテレビのニュースによる。

なお、沖縄の富士について詳しく知りたい方は
 ◎本部富士⇒コチラから
 ◎塩屋富士⇒コチラから

なお、本島北部のやんばる地域は、世界遺産の自然遺産登録の推薦候補に挙げられている。まだ、暫定リストだが、過去には、やんばる地域の中に国内法が及ばない米軍の演習場があるため、推薦を見合わせた経緯がある。環境省は、演習場を除いた地域から優先して自然遺産に登録しようという方針だそうだが、自然遺産の登録を目指すのならば、先に演習場の全面返還を目指すべきでは、と思うのだが・・・。



ナビゲーションはトップページにあります。

TOPページへ