一音(いちおん)のウチナーグチ


沖縄に来てから困ったことのひとつが、ウチナーグチといわれる方言である。こちらで知り合った方々は、私が本土から来たことを知っているので、分かりやすく話をしてくれるが(それでも、分からないので聞き返しているが・・・)、ウチナ〜ンチュ(沖縄県人)同士の会話は、ほとんど理解できない。理解しにくい一因が母音の数である。標準語の母音は、「あ い う え お」の5音だが、ウチナーグチは、母音は3音しかない。

   あ → あ
   い → い
   う → う
   え → い
   お → う

「え」行を「い」行、「お」行を「う」行で発音されるので、米(こめ)は「くみ」、嫁(よめ)は「ゆみ」になる。知り合いに「頼子」さんと言う名前の人がいる。だれもが「よりこ」ではなく「ゆりこ」と呼ぶ。また、キ音がチ音になる。たとえば、きみ(君)→ちみ。リ音がイ音になる。もり(森)→むい。これでは、聞いていても分からない。

琉球新報の四コマ漫画に、一音のウチナーグチが掲載されていた。沖縄では、一音を伸ばすとこんな意味になるそうだ。

ヤー(家)、モー(野原)、メー(前)、アー(泡)、ター(誰)、マー(どこ)、スー(お父さん)、ヌー(何)、カー(井戸)、ナー(庭)、ユー(世、時代)、フー(幸福)。私はひとつしか分からなかった。

なお、ウチナーグチは、漢字で書くと「沖縄口」、沖縄本島で使われる言葉であり、離島の言葉はウチナーグチとは言わない。沖縄の島々で使われた言葉と言う意味では「しまくとぅば(島言葉)」といわれる。沖縄県では、毎年、9月18日を「しまくとぅばの日」と定め、10年でしまくとぅばを使える人を3割増やす計画だそうだ。那覇市の職員採用試験の面接では、ウチナーグチでの自己紹介を義務付けている。言葉の出来ない人は採用されにくいということだ。ウチナーグチと離島の言葉は、かなり異なる。宮古島や石垣島の人が那覇市の職員になるにはハードルが高い。排他的だねェ。

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