今年もメリケン粉が空に舞う


沖縄以外の方で「卒業式」「中学校」「メリケン粉」のスリーヒントで何の話だか分かる人は、相当の沖縄通である。沖縄の中学校では、50年くらい前から、卒業式にメリケン粉などを投げて大騒ぎする「メリケン粉投げ」が行われている。ちょうど節分の豆まきの要領でメリケン粉を投げる。卒業式には、あちこちで粉まみれの生徒の姿や白く汚れた道路(ひどい時は車も粉まみれになっていたりする)を目にすることになる。用事があっても、卒業式の日に中学校に近づくのは止めた方がよさそうだ。

岡山県では、卒業式後の中学3年生らが毎年、派手な柄や刺しゅうを施した「特攻服」や学生服でJR岡山駅前に集まって、一般人に迷惑をかけるので、同県の警察は補導することにしたそうだ。このメリケン粉投げでは警察は登場しないが、全国では沖縄でしか見られない光景のひとつで、こうすることで卒業を祝うのである。大量のメリケン粉を買うお金は、三年生がカンパと称して後輩などから強制的に集めた資金(つまりカツアゲ)である。なお、メリケン粉とは小麦粉のこと。由来はamericanから来た。アメリカンは、日本人にはメリケンに聞こえる。

平成28年3月の話である。卒業式を前にした浦添市港川中学の生徒は、メリケン粉57袋を食べ物を必要としている人たちに寄付した。この中学では、生徒たちが卒業式を前に後輩から集めた金で買った小麦粉は、金額にして約1万円分。そのことを知った学校側は、事情を確認し、小麦粉代を後輩に返すよう指導した。親の協力で返金できたものの、手元に残ったのは57袋の小麦粉。同校の校長は「地域の困っている人に寄贈できないか」と提案すると生徒も賛同して寄付することになった。小麦粉を寄付された浦添市社会福祉会と市内にある仁愛会在宅総合センターの方からは「大切に使います」と感謝の言葉が伝えられたというもの。めでたし、めでたし。しかし平成31年も3月9日、沖縄県内では中学校の卒業式が行われる。どこかの中学ではメリケン粉が空に舞うだろう。

過去には、那覇市内のスーパーで店舗の入り口や小麦粉売り場に、下の写真:右のような「中学校の卒業式まで未成年者への小麦粉販売を自粛します」との貼り紙が貼られた。今年も中学校周辺のスーパーには、3月上旬ころから貼られていることだろう。



メリケン粉投げ 販売自粛ポスター
写真資料;メリケン粉を投げ合う女子生徒(NAVERご提供) 販売自粛を促す平成29年のポスター(琉球新報ご提供)


その結果、平成29年は事前の販売自粛に係わらず、一部の中学校では、恒例により、派手にメリケン粉投げが行われた。中学校は卒業しても、メリケン粉投げは卒業できなかったようだ。今年、平成31年3月9日は、午前中、ずっ〜と雨だったので、想像するに悲惨な姿だっただろうなぁ。

 

  ナビゲーションはトップページにあります。

   TOPページへ