沖 縄 移 住 生 活 始 め ま し た
沖縄には、本土の人間が聞いても、全く意味の分からない言葉が少なくない。今回は、以前、首里城を訪れた際、ガイドさんから聞いた言葉で、そのときは変わった名称なので印象にあったが、その後、すっかり忘れていた。それが、「おせんみこちゃ」である。首里城には、散歩がてら よく行くのだが、先日、久々に城内の有料区域に入ったとき、正殿二階の大庫理(注1)と呼ばれるところを通りかかったら、「おせんみこちゃ」の小さな案内板が立っていた。
そこには、次のような解説があった。「ここは、おせんみこちゃと呼ばれる部屋で、国王みずから女官とともに毎朝東方に向かって拝んでいたところである。御床(おとこ)には神棚として神霊がまつってあり、女官は抹香(まっこう)を焚いて火の神(ひぬかん:火の神様で家の守り神)などを拝礼していた。身分の高い神女(しんじょ)の任命儀式なども、国王、王妃臨席のもとに、ここで行われた。18世紀の正殿の修理記録には、御床の両脇の柱は、黒塗、壁は黄壁などと記されている」とあり、首里城内の「火の神信仰」の中枢であったことがわかる。今でも朝夕の2回、礼拝が行われており、神秘的な雰囲気が漂っている。池上永一氏の小説「テンペスト」(注2)にも、「神棚のおせんみこちゃに線香当番の女官が火を灯しにやってきた。」という場面が登場する。
なお、「おせんみこちゃ」は、漢字で書くと「御先神子齊」 と中国語の解説にある。「齊」は、語源辞典によれば「斉」の旧字で、ととのう、つつしむ、へそなどの意味がある。また、ここで焚かれている「おせんみこちゃの香り」は、北殿にある売店で2592円で売られている。お香の値段は、よく知らないのだが、こんなに高いものとは思わなかった。
案内板の説明 | 北殿の売店で販売している |
(注1)大庫理(うふぐい)…王妃や身分の高い女官たちが日常的に使用した空間。首里城正殿の二階にある。斎場御嶽にも同じ名称の場所がある。
(注2)
テンペスト…19世紀末の琉球王朝が舞台の小説。詳しくは ⇒ コチラから。
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背景の「首里織」は、首里王府の城下町として栄えた首里において王府の貴族、士族用に作られていたもので、悠々として麗美な織物が織り継がれ、現在に至っています。この作品は、米須幸代さんの「グーシー花織」です。