オリオンビールが買収される


琉球新報

オリオン買収を伝える平成31年1月19日付け琉球新報


《追記》「ホントウに友好的な買収ですか?」は、このページの下にあります。
また、《追記》の《追記)オリオンビールが「ワッター自慢」でなくなる日は、その下にあります。
最新《追記》「平成31年3月22日、ついに買収成立」は、一番下にあります。


平成31年1月18日、県内に衝撃が走った。沖縄県民に愛されているビール会社「オリオンビール」が、野村ホールディングス(HD)と米投資ファンドのカーライル・グループに買収されるという衝撃的なニュースが流れたのだ。 'jjj''jjj''jjj'

経営体制の強化や販路拡大に取り組み、収益力を高める狙いだと発表されたが、そんなことは、きれいごとだよね。オリオンは本土や投資ファンド資本に吸収され、オリオンビールという名前だけが残ることになるのだと思う。

翌日の琉球新報を読むと、買収額は数百億円規模に上る見通しだそうだ。昨年9月末時点でオリオンビール株を10%持つ筆頭株主のアサヒビールも引き続き株式を保有し、商品の開発や販売で協力するもようだと記事にあった。しかし、提携先のアサヒビールは自社での海外展開に懸命で、オリオンは別の協力相手が必要になっていたのだが、ファンドは出資先の利益率を高めた後、通常は売りに出すことが多い。沖縄県民から愛されたオリオンビール社は、どこに向かうのだろうか。

思い起こせば、オリオンは平成14年にアサヒビールと提携した。沖縄で販売されている「スーパードライ」はオリオンで作っている。オリオンもアサヒの販売網を活用し、全国にオリオンブランドの商品を販売しており、それまで、本土のビールと比べると数段、味の点で劣っていたが、アサヒとの提携で、本土と遜色のないビールを作れるように育っていた。ただ、年間売上高が300億円に満たないオリオンが自力で切り開く販路には限りがあるだろう。スーパードライの海外出荷を広げるアサヒは「(海外では)自社の商品を優先したい」との意向があり、オリオンなんぞに構っておられるかというスタンスとなるに違いない。

オリオンは、日本のビール大手5社(麒麟麦酒・アサヒビール・サッポロビール・サントリー・オリオンビール)中のシェアは1%にも満たないので、全国的には、ほとんどないのに等しいが、ただ、沖縄県では最大の50%のシェアを誇り、いわば「愛される県民ビール」として定着しており、平成15年度の沖縄県内シェアは、55〜56%と断トツの実績を残していている(共同通信news)。 といってもビール製造は、ジリ貧産業であり、年々消費量が落ちているので、将来が期待できる事業ではない。新聞記事によると、買収の目的は、将来性のないビール事業ではなく、オリオンが持つ不動産だという。オリオンは今回の推定買収額を上回る資産を所有しているという(オリオンの純資産は有価証券報告書によると632億円だが、この金額は簿価なので実質はもっと多い…パソコンから見ることができます)。”狙いはここだ” というのが、県内経済関係者の大勢のご意見だ。

なお、オリオンビールについて、詳しくお知りになりたい方は ⇒ コチラから



《追記》

ホントウに友好的な買収ですか?


オリオンビール買収の衝撃的なニュースを聞いてから5日経つ。この間、地元新聞は連日、記事を掲載しているが、それを見ていると、この買収はだれが何のために行う買収なのか、よく理解できない。オリオンは、ビール部門でも県外・海外進出を積極的に果たしている。また、ホテルオリオンモトブリゾート 、ホテルロイヤルオリオン、 オリオン嵐山ゴルフ倶楽部など、優良な関連企業を保有しており、沖縄の好況に支えられ、高収益を上げている。現時点では、他の企業の援助を求める必要など見当たらない。憶測で物は言えないのだが、オリオンさん、身売りの本当の理由は何ですか?。

企業の「乗っ取り」とは、企業が支配権を奪い取って支配下に置くことをいう。それに対し、企業買収とは、ある会社が他の会社を支配する目的で、発行済株式を過半数買い取ることを言う。相手側(この場合はオリオン側)の合意があれば友好的な買収だが、報道を見ていると友好的なのかどうかよく分からない。 それは、株の買い付けが終了した場合、オリオンは野村ホールディングスと米投資ファンドカーライルグループの傘下となり、役員は野村、カーライル、オリオンが各3名で、オリオンの13名(現時点)の役員のうち、新会社に選ばれた3名以外は執行役員となる見込みという。つまり、主導権は完全に野村、カーライルが握ることになる。

オリオンは沖縄が育てたビールだからこそ県民に愛されている。「♪〜ワッター(私達)自慢のオリオンビール〜♪=オリオンビールのCMソング(毎日テレビから流れている)」なのである。沖縄県の顔と言ってもいい企業であるのだ。それが沖縄の企業でなくなっても愛してもらえるのだろうか?。まして外資の傘下に入ることなど、県民感情からして許されるはずがないと思うなぁ。「何でやねんな」。だれか、この問いに答えてくれる人いてまへんか?。

《追記》の《追記》

オリオンビールが「ワッター自慢」でなくなる日


平成31年1月23日、オリオンビールは、野村ホールディングス(HD)と米投資ファンドのカーライル・グループが実施するオリオン株の公開買い付けと完全子会社化を承認すると正式に発表した。これが完全に実行された日は、オリオンが沖縄のビールではなくなる日ということになる。1株当たりの公開買い付け価格は、7万9200円と決定したそうだ。オリオン株の実勢価格3千円〜1万円の約8倍から25倍という高値での取引となる。筆頭株主はアサヒビールで株式の10%を持つ。創業者の親族や親族が経営する会社の持ち株は合計すると16%で、その他の一般株主は74%という。

県内経済関係者は、「今回の買収は友好的に進められたと強調しているが、三者(オリオン、野村、外資)が言っていることを素直には受け止められない。オリオンには資本力があり、不動産も豊富にある。何か新たなことをやろうと思えば、自分たちの力でできたはず。ファンドから資金を受けるような経営環境ではない。投資ファンドは企業を買収して益を出したうえで売り抜けることを主な手法とする。企業価値を高めて新規株式公開につなげるというのは、後付けの理由のように思える」と疑問を抱いている。また、オリオンの関係者によると、創業者親族の一部は、オリオン本社の土地や建物の売却を企てようとしたり、株式を資金化したいと要請してきたという(以上、琉球新報より)。参考までに今回の買収劇で、創業者親族とその関係者が手に入れるのは、発行済み株式総数は72万株だから、その16%を保有しているということは…。

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《追記》平成31年3月22日、買収が成立した
新聞報道によると、野村ホールディングス(HD)と米投資ファンドのカーライル・グループが進めたオリオンビール株式の公開買い付け期間が3月22日に終了した。複数の関係者によると両社はオリオン株の3分の2以上の84.21%を取得したといい、買い付けは成立した。オリオンは両社が設立した「オーシャン・ホールディングス」の子会社として事業展開することになった。
昭和32年の創業から62年間、沖縄県民から「ワッター自慢のビールとして」愛されたオリオンは、ついに沖縄県のビールではなくなる日を迎えた。

沖縄県内では、県外や外資が入ることに対する不安は根強く、しかも、買収の目的がオリオンの不動産狙いという指摘に対する、地元へのていねいな説明は行われいない。関係者は、買収両者は地元民の不安に対する説明をして、地元に寄り添った事業展開をすることにより、オリオンビールが沖縄に根差した企業であり続けることを切望している(平成31年3月23日、琉球新報を参考に作成)。

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背景の「首里織」は、首里王府の城下町として栄えた首里において王府の貴族、士族用に作られていたもので、悠々として麗美な織物が織り継がれ、現在に至っています。この作品は、米須幸代さんの「グーシー花織」です。