沖 縄 移 住 生 活 始 め ま し た
宜野湾市喜友名のチュンナガー入り口に市が設置した飲料の注意を呼び掛ける看板
(写真は2019年6月、観光客が飲んでいるとの指摘を受け、市が設置したと琉球新報に掲載されたもの)
昔から沖縄では水の確保は重要な課題だった。もう数十年前だが、私も沖縄旅行に来て2度も断水に出会ったことがあった。現在では大型ダムが整備され、本島では水量については心配が少なくなったが、近年、水質の問題がクローズアップしている。
それは、水の汚染問題である。汚染物質は、PFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)(注)と呼ばれる毒性の強い物質による汚染である。汚染源は米軍基地だとみられている。
琉球新報によれば、最も汚染がひどいのは米軍嘉手納基地の排水が流れる大工廻(だくじゃく)川(PFOS、PFOA全国ワースト)で、米軍環境庁の水質基準を最大6倍以上を検出した(下に追記した日本の新基準の約30倍)。また、本島中部の天願川支流の川崎川上流の湿地帯からは、暫定指針値の104倍の数値が検出されている。そして嘉手納飛行場だけでなく普天間飛行場周辺でも、農業などに使われてきた湧き水で汚染が確認されており、宜野湾市内の湧き水が飲料禁止になっている(上の写真)。この物質は、米軍で使われている泡消火剤に使われており、残留性が高いので、地下水や海などを汚染し続けている。
沖縄県は日本国内にはPFOSに関する基準値がないので、政府に設定を要請した。それにより、政府は2020年4月をめどに暫定目標値を定めることにしている。
《追記》新聞報道によると、環境省は、河川や地下水などの水環境における有機フッ素化合物の指針値(暫定)として、PFOSとPFOAを合わせて50ナノグラムと決めたことを全国の都道府県などに通知した《追記》終わり)。政府が基準を設定しても法的拘束力がないので、米軍基地がそれを守るかどうか疑問である。
この問題がクローズアップされていた2020年4月、米軍普天間基地から、有害性が指摘されている「PFOS」を含む消火剤14万リットル余りが大量に流出した。米軍は事故について、「航空機の格納庫でバーベキューをしたため、消火用の機器が作動したのが原因だった」としている。
2016年、沖縄県企業局は、大工廻川で1リットル当たり、183〜1320ナノグラムのPFOSを検出したと発表した。米環境保護庁の当時の水質基準は同200ナノグラム。
米国の各州で基準を設定しているのはミシガン州とカリフォルニア州でそれぞれPFOSが8ナノグラムと13ナノグラム、PFOAは9ナノグラムと14ナノグラム。独自の基準が提案されている州は、ニュージャージー州(PFOS13ナノグラム、PFOA14ナノグラム)、ミネソタ州(同15ナノグラム、同35ナノグラム)、バーモント州(PFOSなどを含む5種類の有機フッ素化合物の合計20ナノグラム)など、米国内では厳しい基準がある。
(注)PFOS…有機フッ素化合物の一種、1940年代にアメリカで開発された界面活性剤で、 撥水剤や紙・布の防汚剤、原料、泡消火剤成分などとして幅広く使用されいる。環境中でほとんど分解しないこと、生物中に蓄積する。PFOAも同様の性質を持つ。
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背景の「首里織」は、首里王府の城下町として栄えた首里において王府の貴族、士族用に作られていたもので、悠々として麗美な織物が織り継がれ、現在に至っています。この作品は、米須幸代さんの「グーシー花織」です。