「ほんぶ」じゃないよ。「もとぶ」だよ。


本部支店の看板

沖縄海邦銀行は「もとぶ支店」と表記している(HP「BANK MAP」より)。


国頭郡本部町は、本島の北部にあり、美ら海水族館や桜の名所・八重岳があるので、県内屈指の観光地なのだが、それが本部町にあることは知られていない。それどころか本部町を「もとぶちょう」と読んでもらえないという悲哀がある。本土のほとんどの方が「ほんぶちょう」とか「ほんぶまち」と読むのである。「もとぶ」と読める方は沖縄をよくご存じの方に違いない。

その上、うちなーんちゅ(沖縄県人)も実は「もとぶちょう」とは言わない。「むとぅぶ ちょう」と発音する。沖縄では「も」は「む」と発音するのである。何故なのかは ⇒ コチラから。町内にある銀行は、〇〇銀行本部支店という名称なのだが、「本部支店」だと、何か違和感があるなぁ。(^-^)

県内の地銀大手3行は、いずれも本部町内に支店を構える。琉球銀行と沖縄銀行はそれぞれ「本部支店」だが、沖縄海邦銀行だけは「もとぶ支店」と平仮名を採用している。海銀によると、同支店は1950年に開設した。当初は漢字で表記していたが、1966年に本部(ほんぶ)と間違われないように変えたそうだ。

沖縄タイムスによると、本部(もとぶ)警察署には、かつて全国的に注目を集めた事件が起こったとき、県警本部と誤解した県外マスコミからの電話が殺到したというからややこしい。沖縄県産ブランド牛「もとぶ牛」を生産販売する農業生産法人もとぶ牧場も「神戸牛や松阪牛など、地方の名牛は地名を付ける。本部牛だと地名だと思われないので、もとぶ牛と平仮名と分かりやすくしたことが受けた」と効果を実感したそうだ。

そもそも「本部」という地名の由来、町史によると1667年、今帰仁間切(行政区)から分割した伊野波(いのは)間切(まぎり:行政単位、今でいうところの「村」)が翌68年に「本部(もとぶ)間切」に改名したらしい。ここで「本部」が初登場するが、由来や改名した理由は分かっていない。350年も前の話だから分からないのも納得だ。

いずれにしても沖縄県本部町は「ほんぶ」ではないので、「もとぶ」と読んでほしい。


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背景の「首里織」は、首里王府の城下町として栄えた首里において王府の貴族、士族用に作られていたもので、悠々として麗美な織物が織り継がれ、現在に至っています。この作品は、米須幸代さんの「グーシー花織」です。