あなたはスパム派か、チューリップ派か?


ポークのチラシ

スパムとチューリップはチラシの目玉商品になる。最近はチラシのような減塩商品が人気。


ポークと聞いて「スパム」や「チューリップ」を思い浮かべる人は、きっと沖縄通だろう。最近は本土でも食べられているようだが、輸入の9割は沖縄で消費されているそうだから、ポークは沖縄の皆さんに、こよなく愛されている食品の一つだ。

ポークの正式名は、「ポークランチョンミート」 だが、沖縄の皆さんは略してポークとか、スパムなど商品名で言う。メーカーも種類も多いが、沖縄で一番ポピュラーなのはホーメル社の「スパム」とデンマーク製の「チューリップ」である。もともとは戦後、沖縄がアメリカの支配下に置かれ、米軍から配給されたことが元となり、その後、盛んに輸入され定着したものである。 私は昭和40年代に宮古島で泊まったホテルの朝食で食べたのが初ポークだった。ポークを知らない私には、厚切りハムのような、ミンチしすぎたハンバーグのような、今まで食べたことのない変わった食感だったのを覚えている。

沖縄の多くの食堂にはAランチ、Bランチというワンプレートのメニューがある。そのどちらにも必ずといっていいほどポークが入っている。それだけでなく、ポークと玉子焼きだけのメニューもある。沖縄そばにはソーキが乗っているのが普通だが、ポークそばもある。おにぎりの具は梅干しではなくポークである。那覇市の牧志第一公設市場の近くにある「ポークたまごおにぎり 本店」 はポーク玉子の専門店で、昼時に行くと地元民なのか観光客なのかわからないが、長蛇の列ができている。人が並んでいないと見逃すくらいこじんまりした店である。店内で食べることもできるが、椅子の数が少ないので、よほどタイミングが良くないと座れない。

さて、知人に聞いた話では、沖縄の皆さんはポークにこだわりを持っている人が多く、「スパム派」と「チューリップ派」に分かれて、どちらが美味しいか熱く熱く、そして延々と語り合うそうだ。ときには論争になることも。価格comマガジンのアンケートでは、圧倒的にチューリップ派が優勢で、70%はチューリップ派だそうだ。沖縄ではあまりにもチューリップの輸入量が多いので、15年ほど前にデンマークのマルグレーテ二世女王様が沖縄を訪れてお礼をされたという話もある。沖縄関連の著作が多い仲村清司氏は「もし、ポークが輸入禁止になったら、沖縄では暴動が起こるだろう」とも言っている。スパムとチューリップを二つ並べて食べ較べをしたことはないが、私はスパムの方は味が濃いように感じた。

このように、沖縄の食文化を語るときには欠かせないポークだが、料理の方法は、スライスして焼く。細かく切ってチャンプルーの具にする。カレーやチャーハンに入れる。みそ汁など、汁物の具にする。サラダにも入れるなどなど…。和風にも洋風にも合う。

ご参考までに沖縄で売られているポークはスパムやチュリップ以外にも、アメリカ製のホーメルランチョンミート、アメリカンプライド、デンマーク製のセレブリティ、ミッドランド、日本製ではcoop、わした("わたし"ではない) がある。このほか、めったに見ることはないが、オランダ製や中国製もある。

Aランチ ポークのおにぎり
那覇市泊の「食堂ルビー」のAランチ800円
Smart Magazine Okinawaさんよりお借りしました
「ポークたまごおにぎり 本店」のポーたま230円

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背景の「読谷山花織」は、「ゆたんざはなうぃ」または、「よみたんざんはなおり」と読みます。琉球王朝のための御用布として織られていました。絶滅寸前だったものを、昭和39年に読谷村で「幻の花織」として復活しました。