琉球人もピクニックをした?


沖縄の家庭には「清明(シーミー)」という行事がある。清明は墓前でごちそうを広げて先祖を供養するという大切な行事である。今、首里城の南殿特別展示室では、「琉球人のピクニック」というユニークな企画展が開かれている。

琉球王国時代の士族などが使っていたとみられる重箱や、飲み物を入れる容器など14点が展示されているのだが、琉球人も弁当箱を持って野外で飲食を楽しんだことが分かる。この季節だと本土なら桜の木の下でということになるだろうが、沖縄ではハーリーやシーミーで楽しんだというのが、とても興味深い。



那覇港図部分


上の写真は、19世紀中頃の「那覇港図」の部分拡大で、ごちそうが入った赤い重箱を前に、手こぎの船で速さを競う伝統行事「ハーリー」を楽しげに見物する様子が、2メートルあまりの屏風に描かれている。



那覇港図部分

この屏風は「那覇港図」で、ハーリーの様子と見物する人々などが描かれている

重箱は今でも使われているので珍しくはないが、下の写真:左は「提重」、右は「湯庫」という名称である。「提重」は「さげじゅう」という取っ手付きの携帯重箱セットである。重箱の中に酒を入れる瓶が1本ではなく2本も鎮座しているというデザインが面白い。琉球人は昔から酒飲み人が多かったのかなぁ。「提重」は、18世紀に作られたものだという。「湯庫」は、「たぁーくー」といって、湯茶を入れて持ち歩くものである。木製の容器に中に錫(すず)の瓶が入っている。今でいう魔法瓶やポットにあたる。すると、泡盛をお湯割りで飲んだ?。漆塗りがとても豪華である。



提重 湯庫
左は携帯重箱セット「提重」、右は湯茶を持ち歩く「湯庫」、企画展のパンフをcopy
正式名称は左:「朱緑漆山水楼閣人物箔絵提重(しゅりょくうるしさんすいろうかくじんぶつはくえさげじゅう)
右:「朱漆山水楼閣人物箔絵湯庫(しゅうるしさんすろうかくはくえたぁーくー)という


首里城公園の輝広志学芸員は「王国時代の人々がワクワクしながら行楽地に出向いた当時の様子を想像して、楽しんで欲しいです」と話していた(学芸員の話は、沖縄タイムスより)。

首里城への入場料金は、一般 820円 、高校生 620円 、小中学生 310円 、6歳未満 無料、平成30年7月3日まで開催中である。



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背景の「読谷山花織」は、「ゆたんざはなうぃ」または、「よみたんざんはなおり」と読みます。琉球王朝のための御用布として織られていました。絶滅寸前だったものを、昭和39年に読谷村で「幻の花織」として復活しました。