沖 縄 移 住 生 活 始 め ま し た
夏のある日、サークル活動を終え建物を出ると、西の方から真っ黒な雲の塊りが東に向かって流れていた。駐車場に向かうとき、たまたま私と同年代のメンバーの女性と一緒に歩いていると、その女性がポツリと言った。「カタブイしてるさぁ」「えっ、カタブイ???」意味の分からない私は聞き直そうと思ったが、「じゃあ、また、来週ねぇ〜」と言って、手を振って行ってしまった。一瞬、片思い? のことかと思ったが、今まで、そんな素振りもなかったので意味を図りかねていた。
家に帰ってPCで「ウチナーグチ辞典」を検索すると、『カタブイ…夏の沖縄の気候現象のことで、漢字では「片降い」または「偏降い」と書く。自分のいる場所は陽が差して晴れているのに、道路を隔てた反対側は大雨が降っているという局地的な降り方のこと。または、日中、少し風が涼しいなあ、と思っていたら、たちまち大きな雲が空一面に広がってザーっと、まるでバケツをひっくり返したような大雨が30分くらい降ること』とあった。つまり、私に「カタブイしてるさぁ」と言った女性は、真っ黒な雲が足早に流れているのを見て「あの雲の下は大雨が降ってるね」と言ったのだった。意味を知って安心した。
また、沖縄には「ウチアミ」という雨の降り方もある。意味は「内側に向けて降る雨」つまり、屋内に雨が吹き込むような強い雨のことで、いわゆる「スコール」や「ゲリラ豪雨」のような降り方の雨をいう。沖縄は亜熱帯なので、雨はシトシトとは降らず、勢いよく強風とともに降り注ぐことも少なくない。そのため、急に雨が降ってくると、小さな台風がきたかと思えるほどの暴風雨となることもある。
こちらに来て少しは沖縄の言葉を覚えたが、沖縄の皆さんは、私と話すときには標準語で話してくれるので、沖縄の言葉はなかなか覚わらない。また、こちらに来た頃は、分からないことを言われると「どういう意味ですか?」と聞き返していたが、聞いてもすぐ忘れてしまうので、よほど重要なことでない限り、そのまま聞き流してしまうことが多くなった。そのため、沖縄の方言には、分からない言葉が一杯ある。そのなかで気象関係の一部をご紹介すると、
アッタブイ…にわか雨
アミフィ…雨降り
ウヮーチチ…天気
カジフチ…台風
カーチベー…夏の到来を告げる季節風
ティーンシー…雨水
アケモドロ…日の出の瞬間
ティーダアミ…天気雨、本土の「狐の嫁入り」に該当する。
ウーミジ…洪水
以上「沖縄方言辞典」から抜粋。沖縄の方言は地域によって異なるので、通じないこともあるそうだ。
そんなわけでカタブイ(片降い)を片思いと勘違いしないよう、 少しは、こちらの言葉も覚えねば…と思っている。
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背景の「読谷山花織」は、「ゆたんざはなうぃ」または、「よみたんざんはなおり」と読みます。琉球王朝のための御用布として織られていました。絶滅寸前だったものを、昭和39年に読谷村で「幻の花織」として復活しました。