沖縄の「デービル」は悪魔ではない


私の所属するサークルに、普段の会話も標準語ではなくウチナーグチ(沖縄言葉)で話すウチナンチュー(沖縄県人)がおられる。意味はほとんど分からなかったが、いつも聞くので「〇〇でーびる」、「〇〇でーびたん」と「〇〇やいびーん」を頻繁に使うことが分かった。意味は、どちらも「ございます」、「ございました」、「です」という丁寧な言葉遣いだった。

沖縄本島でよく使う「にふぇー・でーびる」は、「にふぇーど=ありがとう」プラス「でーびる=ございます」という丁寧語であり、「でーびる」は、決して Devil=悪魔 ではない。また、「にふぇー・でーびたん」は、「ありがとう・ございました」という過去形である。また、同輩には「にふぇー・やいびーん」と言い、「にふぇーど」と言えば後輩に対する「ありがとう」である。と言っても、最近の若い人は、「ありがとーやぁ」とか「ありがとうねぇー」と言う人が多い。それなら私でもよく分かる。

沖縄ではテレビ舞台の圧倒的な人気キャラで、ニライカナイ(海の彼方の理想郷)からやってきたという魂の戦士「琉神マブヤー(本土のウルトラマンのような正義の味方)」には、数々のマジムン(魔物)軍団が登場する。そのなかには「ハブデービル」や「オニヒトデービル」がいる。大和の言葉に直すと「ハブでございます」と「オニヒトデでございます」になる。マジムンとは思えない憎めないネーミングだ。

また、まだ飲んだことはないが、沖縄には「ニヘデビール」という名の地ビールがある。「おきなわワールド(南城市)」という観光施設の地ビールである。シャレが効いてるネェ(下の写真:左)。

「豊年音頭」というカチャーシーの代表的な曲がある。カチャーシーとは、祝いの席や集いの場で、三線を弾いて歌い、最後にみんなで踊るもので、両手を上げてかき回すような踊り方をすることから、かき回すという意味のウチナーグチで、カチャーシーと言われている。 そのお囃子が「♪豊年デービル♪〜豊年デービル♪〜」である。意味は「豊年でございます、豊年でございます」。曲をお聞きになりたい方は ⇒ コチラから。古謝美佐子さんと夏川りみさんが歌っている。急に音が出るので、深夜、早朝はご注意を。豊年音頭は歌詞が大和口(ヤマトグチ)なので分かりやすいが、もうひとつのカチャーシーの定番曲「唐船(とうしん)どーい」という曲は、歌詞がウチナーグチなので、私には意味がさっぱり分からない。りんけんバンドの「唐船どーい」をお聞きになる方は ⇒ コチラから。沖縄に移住後、宴会などに参加したら最後はカチャシーになるので、どちらかの曲が奏でられるだろう。

ニヘデビール カチャシー
地ビール「ニヘデビール」 カチャシーを踊る ありし日の故翁長(おなが)県知事(毎日新聞より)

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背景の「読谷山花織」は、「ゆたんざはなうぃ」または、「よみたんざんはなおり」と読みます。琉球王朝のための御用布として織られていました。絶滅寸前だったものを、昭和39年に読谷村で「幻の花織」として復活しました。