エッツ、沖縄の山で遭難?


沖縄本島北部の山原(やんばる)地区に与那覇(よなは)岳という山がある。山といっても高さは503メートルなので、本土の方から見れば山のうちに入らないかもしれないが、それでも沖縄本島では一番高い。

その山で、平成29年10月6日の午後6時半ころ、観光客のフランス人から携帯電話で救助を求める110番通報があった。ルートを外れて道に迷ったそうだが、この山は道標もあり、分岐も1ヵ所を除いて迷うようなところはないはずなのだが…。その分岐で間違えたのだろうか?。それとも頂上からの下山道が4本あるので、来た道と違う道で下りたのかもしれない。

この山の登山道は、ほぼ樹林帯を歩く。また、頂上も木々に囲まれ眺望がないので、登っても頂上の場所を確認しに行っただけという、あまり面白みのない山だが、本島で一番高いので、沖縄の山のなかでは人気がある。なお、沖縄県で一番高いのは、石垣島にある於茂登(おもと)岳で525.8メートル。

名護署と国頭地区行政事務組合消防本部が捜索にあたった。7日午前0時現在では、発見されていなかったが、同日午前10時40分ごろ、捜索隊によって発見された。2人にけがはなく、約1時間後に自力で下山した。ということは、山中で一夜を過ごされたのだが、沖縄の10月は、まだハブの活動期である。ハブは夜行性なので、遭遇しなかったことは幸いだった。

◎沖縄の山の遭難事故
平成21年2月には335メートルの名護市の久志岳で62才の男性が遭難され、翌日、遺体で発見された。同年11月には、本島中部の石川岳で沖縄市の親子が道に迷い、翌日、登山口の反対側の恩納村の山中で救出された。石川岳は、わずか204メートルの山である。
また、平成29年9月23日、60〜80代の10人の団体が大宜味村のネクマチヂ岳付近から入山し遭難した。同29年9月、大宜味村津波の平南川の「ター滝」で、本部町の男性が滝つぼに転落して死亡した。同月、地元の男性が黄金森から入山し、道に迷い遭難した。同年10月、フランス人の遭難から1週間後、同じ与那覇岳で30代の男性と7歳の男の子の親子が遭難した。本島の山は、米軍の演習場とつながっているところも少なくない。仕切りがしてあるわけはないので、間違って入ってしまうと撃たれるかもしれない。十分に注意が必要である。

なお、離島の西表島では、平均すると年間5件の遭難事故が起こっており、2〜3年に1回は死亡事故も起こっている。平成14年には、大学ワンゲル部がマーレ川より入山し、部員1名が行方不明になり、父親が10年以上も探しているという話を、縦走したときのガイドから聞いた。 また、落滝、川で流される事故も、たびたび起こっている。もし、来沖して山登り、滝めぐりをされることがあっても、低い山だからといって油断しないように。西表島の記録は ⇒ コチラから

(以下は、琉球新報より)今年に入って8月以降、6件の遭難が発生している国頭村の消防本部消防長は「やんばるの森は広く深い。携帯電話もつながらない場所もある。いったん入ると自分たちでも迷う。夜になると暗闇で見えなく、崖も川もあり危険だ。ガイドなしの登山はやめてほしい」と訴えている。 また、国頭村観光協会では、「個人での入山は薦めない。下調べもなく、あやふやな知識で山に入ると事故につながる。事前に連絡してくれれば、ガイドを手配できる」と言っている。

◎平成26年4月の与那覇岳の記録は、⇒ コチラから



熱帯樹林の登山道 与那覇岳頂上
(左)熱帯樹林の登山道は眺望がない。 (右)与那覇岳頂上、右のお二人は沖縄県の方、左のお二人は高知県から来沖。


NEW《追記》
(以下、データは、琉球新報・沖縄タイムスより)沖縄本島北部の国頭・東・大宜味3村の山での遭難軒数は、平成27・28年度は0件だったが、平成29年度は13件発生し、過去最多となっていることが国頭消防本部の調べで分かった。13件のうち12件は沖縄県内に住む人で、初めて来た人だったそうだ。これまでは平成23年度の4件が最多だったので、29年度は急増した。やんばるの森は、平成28年9月、国立公園に指定されたので人気となったのかも。統計には含まれていないが、地元住民が道に迷ったこともあったという。国頭観光協会では、ガイドの受付けや登山路の案内情報を提供している。本土から来られる人も、低山だからといって油断されないように。不案内の人はご活用を。Tel (0980) 41-2420(午前9時〜午後6時)また、沖縄の山サイトは ⇒ コチラから


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