海が泣いている


今まで海だったところが、どんどん埋め立てられている。離島との間に橋ができて陸続きになるのはいいことだが、そうではない。海岸が無くなるのである。サンゴ礁や干潟が消えていくのである。一番新しいところでは、辺野古の160ヘクタールの海が今、まさに埋め立てられようとしている。面積は東京ドームの34個分に当たる。反対運動も行われているが工事はどんどん進んでいる。だれも声を上げなければ、沖縄県の海は全て埋め立てられてしまうだろう。「農と島のありんくりん」さんのblogによれば、復帰後の37年間だけで2,400ヘクタール、東京ドーム約510個分が埋め立てられたそうだ。

私の車のナビは平成20年の地図である。実際に沖縄の海岸道路を走っていると、ナビの画面では海の上を走っていることがよくある。見た目にはわからないが、海が埋め立てられて道路になったのだ。辺野古基地(注1)のほかにも沖縄では那覇軍港移設計画(注2)で340ヘクタールが埋め立てられる。計画に反対して当選した現市長は、その後、公約を撤回して計画受け入れを表明し、平成29年2月、再選された。また、これも工事が進んでいるが、那覇空港拡張工事(第2滑走路建設)で埋め立てられる海も160ヘクタールである。北でも南でも中部でも、沖縄本島は、どんどん埋め立てが進行している。

NETで検索すると、うるま市の川田干潟では390ヘクタール、糸満干潟は300ヘクタール、桃原干潟の260ヘクタールの海は、すでに消失したとある。そうして海を失くしておいて、海岸沿いにホテルを建設すると他所から砂を運び入れて人工ビーチを造る。沖縄には、そういう浜がたくさんある。そこは自然の海岸ではない。沖縄県民にとって海は「ニライカナイ(注3)」のある大切なところなのに…。これからも、どれだけの海が消えていくのだろう。

干潟があれば埋めてしまう。山があれば崩してしまう。墓があれば移動する。木があれば切り倒す。沖縄に来て悲しいと思うことは、基地がらみでなくても、開発の名のもとに、あったものを平気で壊してしまうことだ。



辺野古の埋め立て 泡瀬の埋め立て
辺野古基地の埋め立て計画図(名護市HP) 南西諸島最大級の泡瀬干潟(注4)(Wikipediaより)


(注1)辺野古基地…沖縄県宜野湾市にあるアメリカ海兵隊の基地を名護市辺野古に移転する計画。すでに工事が進んでいる。
(注2) 那覇軍港移設計画…那覇市の那覇軍港を浦添にあるキャンプキンザーの海岸に移設する計画。翁長沖縄県知事は、辺野古の新基地には反対しているが、那覇軍港の浦添移設は容認の立場をとっている。
(注3)ニライカナイ…琉球諸島で海の彼方や海底にあると信じられる理想郷の名称。ニルヤカナヤともいわれ、東の海の彼方にあるとされる。「ニライ」は「根の方」、「カナイ」は「彼方」を意味する説など、諸説ある。
(注4)泡瀬干潟(あわせひがた)…沖縄市にある干潟および浅海域。現存する干潟や藻場などの浅海域の広がりとしては南西諸島でも最大級の規模を誇る。この干潟の埋立事業が、環境保全上の争点となっている(Wikipediaより)。


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