沖縄県人は「君が代」を歌わない?


いつの話だったか、しっかりとは覚えていないが、歌手の安室奈美恵さんが、どこかの式典で「君が代」を歌わなかったら、歌うのを拒否したというような報道がされた。

そのことで、ご本人に聞いたわけではないのだが、沖縄で生まれ育った安室さんは、歌わなかったのではなく、歌えなかったというのが本当ではなかったのだろうか。本土では小学校の入学式から高校の卒業式まで、「君が代」は必ず歌う。そのほか、運動会など学校行事では、校歌とともに「君が代斉唱」がプログラムに組み込まれている。私も習ったわけでもないが いつのまにか覚えてしまった。しかし、歌詞の意味を理解したのは高校生になってからだ。それまでは「さざれ石」の意味も知らずに歌っていた。「君が代」を教えられていない安室さんは、知らないから歌わなかったのだろう。

沖縄では本土復帰が実現した昭和47年以降でも、国旗掲揚、国歌斉唱をしない学校が少なくなかったという。教員が教育現場でやらなかったのは、戦前に学徒動員の名のもとに、多くの教え子たちを軍に命じられ戦場に送ってしまい、多くの犠牲者を出してしまったという無念な想いがあったからだろう。

そのせいか、沖縄県人で「君が代」を歌わない人が多いのは、思想信条とは関係なく、学校で習ってないからである。年代によっても違うかもしれないが、私の所属するサークルの年配の方々は、アメリカ統治下の沖縄で育った。だから入学式や卒業式などの学校行事でも「君が代斉唱」はなかったそうだ。「君が代」は、大相撲やオリンピックなどでは何度も聞いたことがあっても、歌ったことはないという。聞くだけだから歌えといわれても、歌詞も よく分からないと言っておられた。

話は変わるが、昨年、リオ五輪の日本代表選手団壮行会が国立代々木競技場で行われたとき、「君が代」を歌わなかった選手がいた。そうしたら「国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と東京五輪組織委員会長の森喜朗氏が苦言を呈したが、君が代を知らない人に歌えというのは無理な話である。国のえら〜い人も、そういう歴史があったことぐらい知ってほしい。


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