観光立県が泣いている


平成28年7月の沖縄への入域観光客数は80万5,800人(前年同月比12・9%増)で、単月の観光客数としては初めて80万人を超えたとテレビのニュースが伝えていた。前年同月を上回るのは46ヵ月連続という観光立県なのに、信じられないことが起きている。まず、この表を見てほしい(ゆいレール会社のHPより)。



昇降機の停止している駅


これは、沖縄都市モノレール「ゆいレール」の駅で、駅舎と屋外の舗道を結ぶエスカレーターやエレベーター(以下、「エス・エレ」と省略する。)の故障が相次いでおり、驚くことには、それが8月現在で、最長3ヶ月も修理されずに放置されていることだ。おもろまち駅で故障したのは、5月20日、儀保駅の故障は6月7日のこと(琉球朝日放送)。この表どおりに修理ができたとしても復旧までに最長で7ヶ月、最短でも3ヶ月の間、使えない状態が続く。もしあなたが普段 利用する駅のエス・エレが故障したとしても、3ヶ月以上修理されないなんてことがあるだろうか?。そんな超お役所仕事は、決して許されないはずだ。ゆいレール全15駅中、故障して放置されているのは上表にあるように6駅に及んでいる。

また、こんな悠長なことを許しているお役所仕事の極みは、エス・エレの管理は、ゆいレール会社ではなく、国や県、那覇市など、設置してある道路の管理者が負っていることだ。つまり管理者が駅によってマチマチという不思議さ。県の担当者は「修繕費用の算定や部品調達に時間を要している」と説明した(沖縄タイムス)が、修理の予算をあらかじめ計上していないなんてことは、民間事業者では考えられない話だ。「なんくるないさ〜(何とかなるさ〜)」では、何ともならないよ!。

こんな状態がいつまでも続いていたら、観光イメージにも悪影響を及ぼしかねない(琉球朝日放送)。足腰が弱くなったお年寄りや障害のある人にとって、駅のエス・エレは必要不可欠だ。重くて大きなスーツケースを持った観光客に階段を利用しろというのか。沖縄都市モノレールのHPのトップページ には、下図のように「人に優しいゆいレール」とうたわれているが、どこが人に優しいの?



ゆいレールのHPより

ゆいレール会社のHPより
エレベーター停止の貼り紙


このことが明るみになってマスコミで報道されたことから、ゆいレール会社とエス・エレの管理者である国、県、那覇市の4者は、今後、管理をモノレール会社に一元化することで再発防止を図る考えであることを明らかにし、修理を放置していたことを謝罪した。そして、新聞、テレビ等で連日、4社の対応の悪さ、責任感の欠如、緊急性の認識の欠如を指摘されたことから あわてて業者に手配し、古島駅は9月9日、儀保駅、おもろまち駅は9月30日に復旧すると発表した。その気になれば出来るんだネェ。しかし、一元化管理の具体的な枠組みや再発防止策については何も決まっていないそうだ。当事者が集まって "修理しなくてゴメンナサイ" と言うだけの記者会見をする時間があるなら、他の駅も早く対応してよ。

《ご参考》沖縄都市モノレール株式会社とは、那覇市で「ゆいレール」を運営する鉄道会社。沖縄県、那覇市、沖縄振興開発金融公庫及び民間企業の共同出資による第三セクター方式の会社である。年間、1,600万人を輸送する(平成25年度)。

《追記》沖縄都市モノレール「ゆいレール」のエス・エレの復旧が長引いていた問題で9月28日、壺川駅のエスカレーターと儀保駅のエレベーターの修理が完了した。これでエス・エレの止まっていた6駅すべてで、復旧作業が完了した。両駅とも復旧めどを12月末と発表していたが、部品調達のめどがついたため前倒しで復旧できた。

予定より早く復旧できたのは、このことを連日、話題にして当事者を糾弾し続けてきたマスコミ各社の援護射撃によるものだろうが、沖縄県は平成28年度の入域観光客840万人、同33年度には1,000万人超を目指している。観光客のためだけではないが、ゆいレールは、沖縄県唯一の鉄道なのだから、壊れたら3ヵ月以上も放置することなく、すぐ修理の手配をするのは当たり前のこと。今後は、公共輸送事業者としての自覚を持って対応してほしい。

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