ゲゲゲの鬼太郎のお母さんは沖縄の人?


「ゲゲゲの鬼太郎」といえば、ご承知のとおり、故水木しげる氏の大ヒットアニメである。鬼太郎は、幽霊族の父と人間の母との混血という設定だが、お母さんは、何と! 沖縄の人だというのだ。

ゆいレール「美栄橋駅」と「ジュンク堂(撤退したダイエーの跡に入った本屋さん)の間に小さな山というか、小高い丘がある。ここには七つの墓があったことから、通称「七つ墓」と呼ばれている。島の言葉では「ナナチバーカー」という。七つ墓には、「飴買い幽霊」とか「子育て幽霊」という伝説が残っている。

その内容は、美栄橋駅前に建つ「七つ墓と十貫瀬の伝説」の碑に、次のように記されている。

「美栄橋駅のすぐ近くに幽霊伝説と地名の由来となった岩山が現存する。
この岩山には七つの墓が並んであったことから「七つ墓」と呼ばれている。昔、この岩山近くのお店に子供のお菓子を買う女性がたびたび現れた。その女性が置いていくお金が翌日には紙(紙銭・カビジン)に変わるので、不思議に思った店の主人が、ある日、女性の後をつけていくと、墓の中に入っていった。墓の中を 覗いてみると、驚いたことに死んだ母親の側で赤ん坊がアメをしゃぶっていたという。子供を想う母親の気持ちが現れた幽霊話である。」

この話は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の「飴を買う女」とほぼ同じ内容である。また、Wikipediaによれば、中国の洪邁(こうまい)が編纂した『夷堅志(いけんし)』に載る怪談「餅を買う女」と内容がそっくりであり、もともとは中国の怪談を作り変えたものであったと考えられているようだ。「国立劇場おきなわ」では、沖縄芝居公演「怪談劇 十貫瀬の七つ墓」が昨年(平成27年)8月15,16の両日、上演されており、琉球新報には36年ぶりの再演という見出しがついていた。

さて、本題だが、沖縄大学客員教授で沖縄関係の著作が多い仲村清司氏によれば「ゲゲゲの鬼太郎」は、この女の幽霊の子供という設定になっているというのだ(「ほんとうは怖い沖縄」より)。HP「設立!鬼太郎委員会」によれば、鬼太郎の母親は、鬼太郎がまだお腹にいる時に死んでしまった。鬼太郎は埋葬された母親の死体から生れ落ち、自力で外の世界へ這い出してきたと昭和30年代の初期の作品で紹介されている。また、昭和62年の月間少年マガジンには、鬼太郎の母は「岩子」という人間(「四谷怪談」のお岩さんの親戚)とされている。いずれにしても、お母さんが沖縄出身だとは知らなかった。

七つ墓のある山の周辺は民家などがぎっしり建っていて、山の中には入れなかった。どこかに道があるのかもしれないと思って周囲を歩いてみたが分からなかった。1ヶ所だけ近づくことが出来るところがあったので入ってみると、お知らせの立て札があり「この地域は十貫瀬公園区域に指定され、今後、整備事業を進める予定です。現在、お墓の所有者の確認を行っているところです。所有者及び関係の方は、ご連絡ください。那覇市役所」と書かれていた。この奥にはお墓があり、行き止まりだった。

何の整備事業なのかは分からないが、この七つ墓のある山は、中国皇帝の使者の記録には、「七星山(しちせいざん)」と記されている。そんな由緒ある歴史遺産である。また、ここは、古くからのお墓のあったところだ。神のお告げを聞くことが出来る霊能者、渡久地十美子さんは、講演のなかで「お墓の移動はしないほうがいいですよ。古い墓でも不便な所でも動かさないこと。もう、ずぅーっとね、地縛霊(死亡した土地などから離れずにいるとされる霊)になって、そこにいますのでね。親切にジョートーな(立派な)墓を造って、お骨だけ移動してもずっと残っているのですよ。」と言っておられる。整備を進めて災いが起こらなければいいのだが…。



七つ墓のある山 立札
七つ墓のある美栄橋駅前の山 整備事業を知らせる立て札
お墓 お墓
上の立て札の場所にあったお墓

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