沖縄県民を”土人”呼ばわり


「沖縄県民を土人呼ばわりする大阪府警の機動隊員」と題した動画がYou tubeに投稿された。⇒コチラから。説明文には「2016年10月18日午前9時45分頃、ヘリパッド建設工事が進むN1表ゲート近くで撮影。砂利搬入に抗議する沖縄県民を『土人』呼ばわりする大阪府警の機動隊員」とある。 

「触るなクソ。触るなゴルァ。どこ掴んどんじゃこらボケ。土人が」と発言している。私もYou tubeを見たが、言った隊員の顔も確認できるし、言葉もハッキリと聞きとれる。県警は、当初は発言の事実を認めていなかったが、You tubeに投稿された途端、あわてて、菅義偉官房長官は19日の記者会見で遺憾の意を表した。

沖縄県警によると、発言したのは大阪府警が派遣した29歳の機動隊員。土人とは、もともと その土地に土着の人間のことをいう。ただし、現在では、未開の生活形態を残す先住民族を指し、品位や教養の無い非礼・無礼な有様を指す侮蔑的な意味合いで用いられる事が多い(Wikipedia)。土人などという言葉は、すでに死語に近く、私の年代でも使うことはない。まして20代の人が使うのは信じられない。日ごろ機動隊員同士の会話の中で、年配の隊員が沖縄県民に対し頻繁に使っていたのを、若い隊員が見聞きしていたのだろう。大阪府警の機動隊員の権力をカサにした この発言は、権力側の沖縄への非礼極まりない差別の象徴であり、決して許してはならない。なお、「土人」発言をした隊員は10月19日付けで離県し、大阪府警へと戻ったと琉球新報電子版が告げていた。

同じ場所で、大阪府警の26歳の警備隊員が「黙れ、こら、支那人」と暴言を吐いていたことも19日分かった。隊員は県警の聞き取りに対し「興奮して思わず言ってしまった」と釈明しているというが、沖縄県民に対し中国人を侮蔑した表現を用いたもので、これも偏見であり、蔑視であり、明らかな暴言だ。県警は「差別用語としてとられかねない不適切な言葉だ」と謝罪した。支那人という表現は、戦前、中国人を蔑んで呼んだものであり、中国人が最も嫌う言葉のひとつだ。石原慎太郎氏は、中国のことを支那、中国人のことを三国人と言ったが、「三国人」とは、 かつて日本の統治下にあった朝鮮・台湾・支那人の総称。相手が日本人であろうが外国人であろうが、戦前の支配者面をして、あえて人が嫌がる言葉を使う人の心が理解できない。

移住とは関係のない話題だが、このニュースは沖縄では大きく取り上げられた。しかし、本土ではどのように扱われたのか分からないので、あえて、こういうことがあった ということをUPさせていただいた。

《追記》翌日の沖縄タイムスプラスを見て驚いた。大阪府警の機動隊員による「土人」発言を巡り、松井一郎大阪府知事は19日夜、自身のツイッターに「ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」と投稿したというのだ。機動隊員が「土人が…」と暴言を吐く動画を確認した上で、批判するのではなく、機動隊員を擁護し、ご苦労様とねぎらったのである。この人は、ことの善悪も分からない人だったのか。人の上に立つ者としての責任感が全く感じられない。こんな人が知事だなんて、大阪の皆さんにご同情したい。皆でNo!を突き付けよう(松井一郎氏のツイッターに「口先だけの行動力が伴わない政治家にはNOを突き付ける!」という一文がある。これを ご本人にお返ししたい)。

《追記》 さらに21日の沖縄タイムスプラスには、松井氏の「土人」発言の擁護に多くの批判が寄せられていることについて「売り言葉に買い言葉で言ってしまうんでしょう。(抗議している)相手もむちゃくちゃ言っている。相手は全て許されるのか。それをもって1人の警官が日本中からたたかれるのはちょっと違うと思う」と、発言した機動隊員をさらに擁護した。その上で「府警、全国の警察官が沖縄のために無用な衝突を起こさないよう、一生懸命働いているのは事実だと思う。ツイッターを撤回する考えは "ない"」と語ったと言う。

松井さんは何か勘違いしているのではないか。一所懸命働いているとか、いないとかいう、そういう問題ではないのだ。大阪府の窓口に府民が来て強い口調で抗議したら、府の担当者が「売り言葉に買い言葉」だからと「こら、ボケ、土人が」と言っても、大阪府の職員は一生懸命仕事をしているのだと擁護するだろうか?。相手が沖縄県人なら差別しても構わないのか?。官房長官が遺憾の意を示したり県警本部長が謝罪したのは、沖縄県民に対して蔑視する発言をしたことに対してなのである。全国からの大阪府に寄せられたメール、電話の批判は沖縄県民に侮蔑的な言葉を投げつけ、沖縄県民を差別する意識に対して抗議しているのだ。そして府知事としてあるまじき あなたの歪んだ価値観にも抗議しているのだ。「売り言葉に買い言葉」で済ませる問題ではない。
なお、この1ヵ月後、「つちんちゅ(土人)トート」が制作された話は、⇒ コチラから

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