宮古上布(みやこじょうふ)


沖縄に1反2,000万円もする織り物があることを知った。それが宮古上布である(HP「宮古上布の民俗誌」)。このページの背景画像は宮古上布の模様である。

宮古上布とは、沖縄県の宮古島で織られる芋麻(ちょま)を原料とする麻織物のこと。自然の物以外は一切使用せず、糸の制作、織り、染色等の全行程が手作業で行われている。一反織りあげるのに大変な手間と時間を要するため、希少価値が高く、昭和53年に国の重要無形文化財に指定された。

他の伝統工芸と同様、後継者不足で、前述のHP「宮古上布の民俗誌」によれば、生産高は年間20反しかないという(昭和48年ころは、10,000反)。生産従事者が減少すれば、原料糸も減少する。それに比例し反(たん)数も減少するため値段が上がる。値段が上がれば買う人が減り、従事する人も減っていくという悪循環に陥っているそうだ。 宮古織物事業組合では技術者の育成、生産体制の維持や、伝統継承、品質維持に努めているものの、平成26年現在、個人で従事している人は、今年86才になられる方、お一人になってしまったとか。なお、価格について、冒頭の1反2,000万円するのは特別な品物だと思うが、東京の全国伝統的工芸品センターでは、1反120万円で販売されていると HP「宮古上布」に記されている。

宮古上布にはラミー商品なるものがあるという。HP「宮古上布の信用問題」によれば、『ラミーとは、もともと苧麻の英語名(ramie, ramee)で、地元の人が「ラミー」と呼んでいるのは、「機械で紡いだ苧麻糸」のこと。機械で作ったので品質は均一で扱いやすいために、染めや織りに時間がかからない。しかも手作りのものと比べてとても安価に、しかも手軽に麻織りを作ることが出来る』とある。平成10年、地元紙が「宮古上布に "ミー製品" 原料に機械仕上げの苧麻(ちょま)使用 組合内で製造、取引」という記事を第一面に大見出しで報じたことがあった。翌日、ミー製品をミー製品と訂正したが、意図的につけた見出しのような気がする。この記者さん、確信犯だったかも。なぜなら、そのダミー商品、いやラミー商品を取り扱っていたのは、宮古上布の伝統を守らなければならないはずの、宮古織物事業協同組合の当時の組合長だったからである。

このように、重要無形文化財である宮古上布は、すべて苧麻を手紡ぎした糸を使用し、手織りでなければならないのだが、一部の業者が、機械で作った工芸品をホンモノのような顔をして流通させている。素人には、その違いを見分けることが難しいそうだ。そういう業者は、どこかの国のように、コピー商品を大量に作って安価に販売しているのと、何ら変わらないと思うのだが…。

宮古上布
宮古上布創製者-稲石刀自(いないしとぅじ)の直系の子孫、13代目にあたる 洲鎌ツルさん(86才)の工房「藍風」の様子。
HP「宮古上布の民俗誌」より転載させていただきました。

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