沖縄県唯一の銭湯「中乃湯」
全国的に、街から銭湯が姿を消してゆく時代の流れに歯止めがかからない。沖縄県でも最も多いときは300軒ほどあったそうだが、もともと沖縄県民は、湯舟につかる習慣がないことや、一般家庭の浴槽内シャワーの普及などにより、ついに沖縄では最後の一軒となってしまった。それが、沖縄市(旧コザ市)にある「中乃湯」である。
沖縄では、銭湯を「ゆーふるやー」と言う。漢字で書くと「湯風呂屋 」。沖縄の銭湯の大きな特徴は、衣服を脱ぐ脱衣所と浴場に仕切りがないことだそうだ。今回ご紹介する現存する沖縄市の「中乃湯」も、脱衣場と浴場の間に壁も扉もない。HP「沖縄repeat」によれば、「中乃湯」の創業は1960年というから、2022年で62年目を迎えた。料金は大人(12歳以上) 370円、中人(6歳以上12歳未満) 170円、小人(6歳未満) 100円。営業時間は14:00頃~20:00、定休日は木曜と日曜。(以上は、私が行った2020年5月現在)。石鹸とタオルは貸してくれるので、手ブラでもOK。なお、沖縄市のHPに「中乃湯」を紹介のページがあり、大人は20歳以上と記されているが、これは間違い。正しくは12歳以上は大人。
実は、この「中乃湯」は、立派な温泉である。泉質は、弱アルカリ性のナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。地下300メートルからポンプで汲み上げており、源泉は無色透明。しかし、バスクリンが投入されるため、はじめの湯色は緑色なのだが、注ぎ足し湯は無色なので、遅い時間になるほど色は薄くなる。また、浴場内には飲み物は売っていないので、あらかじめ持参するか、表の自販機の利用を。トイレはあるが、2020年以降に改修されていなければ、超レトロなので事前に済ませておくことをオススメする。
なお、金武(きん)町にも「金武町総合保健福祉センター」という町営浴場がある。ここは町営という名前のとおり街の銭湯とは雰囲気が異なるので銭湯には入れなかったが、お風呂屋さんという括りだと、沖縄県には「中乃湯」と「金武町総合保健福祉センター」の2軒ある。
浴槽は一つだけで、脱衣場から丸見え