「島ぞうり」がピンチに


島ぞうり

色もデザインも豊富な島ぞうり(沖縄月星さんのHPより)


観光で沖縄に来られた多くの方が、ビーチを歩くときに買い求めるもののひとつにビーチサンダルがある。略してビーサンなのだが、沖縄ではこれを「島ぞうり」という。

この島ぞうりを一手に輸入販売をしている沖縄月星鰍ニいう会社で火災があり、1,300平方メートルの倉庫が全焼し、在庫5万足が燃えてしまったというのだ。しかし、この島ぞうりを買い求めるのは観光客だけではない。沖縄県民の一人一足は持っているだろう必携品なのである。 街を歩けば、島ぞうりを履いて歩いている人がいっぱいいる。

話しは戦後間もない頃にさかのぼる。あちこちに散らばった瓦礫などから足を守るために、古いタイヤを使って作られたサンダルが島ぞうりのルーツといわれている。靴を買う余裕もなかった時代には、男も女も老人も子供も皆、一日中、この島ぞうりを履いていた。

当時の島ぞうりは、青、赤、黄色の三色だけだったそうだが、その頃から島ぞうりを造っていた沖縄月星では、これを他社の後発商品と区別するため、元祖「島ぞうり」と改名した。今は、色のバリエーションも増え、10色以上あり、インドネシアから輸入しているそうだ。観光客のお土産としても人気があり、年間数十万足を売り上げる。ビギンのヒット曲、オジィ自慢のオリオンビールの歌詞にも「♪〜島とつくものなんでも好きで、酒に マースー(塩) ぞうりまで 〜」と歌われている。この歌は、テレビのCMとなって毎日流れたので、沖縄県民なら誰でも歌えると言ってもいいほどヒットした。この歌をお聞きになりたい方は、⇒ コチラから。ただし、オリオンビールは2019年、本土系企業と外資系企業に買収されたので、残念ながらワッタービール(沖縄県民のビール)ではなくなってしまった。

今回の火事で、島ぞうりのシェアが5割という沖縄月星の在庫がすべて燃えたため、これからの入手が困難となりそうだ。元祖「島ぞうり」が危機を迎えている。



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背景の「首里織」は、首里王府の城下町として栄えた首里において王府の貴族、士族用に作られていたもので、悠々として麗美な織物が織り継がれ、現在に至っています。この作品は、米須幸代さんの「グーシー花織」です。