毒入り危険、食べたらアカン


公園の看板


平成30年8月、沖縄タイムスにこんな記事が載っていた。
沖縄県石垣市崎枝の県道79号沿いの街路樹に、マンゴーに似た実がぶら下がり、旅行客などから「食べられるの?」と注目を浴びている。しかし要注意。これは「ミフクラギ」(目が腫れる木)との別名を持つ、キョウチクトウ科の常緑小高木「オキナワキョウチクトウ」という有毒植物だ。

記事によると、植えられている街路樹は10本ほど。うち直径約20センチ、高さ5〜6メートルの3本には緑色や紫紅色に熟した卵形の実が数個ずつ枝先にぶら下がっている。歩道には足の踏み場もないほど落果も。葉や枝を切ると白い樹液が出てきて、目に入ると腫れたり失明したりするといわれる。 特に種子は猛毒で、かつてはネズミ駆除の毒団子に使われたといい、地元住民は「鑑賞や撮影は楽しんでも、むやみに実を拾ったり枝葉を傷つけたりしないで!」と旅行客に注意を促している。

一体どんな木なのか調べてみると、「ミフクラギ」は、熱帯から亜熱帯に生育するキョウチクトウ科の常緑亜高木。別名オキナワキョウチクトウ(沖縄夾竹桃)。果実や種子、樹液は有毒。

果実は直径5〜8cm程度のやや潰れた球形。未熟果は緑色、熟すと赤くなる。一見ではマンゴーのようにも見え、これが枝先からぶら下がる姿には思わず食べてみたいと思わせる(下の写真:左)。 毒成分はケルベリン(Cerberin)をはじめとしたアルカロイドの配糖体。傷のついた果実に触れた手で目をこすると腫れることから、沖縄方言では「目脹ラ木」(ミフクラギ)と言われ、これが和名として用いられている。同じ成分を有するオオミフクラギは自殺に用いられることから、自殺の木(suicide tree)の英名があるという(Wikipediaほか)。

奄美〜沖縄諸島から中国南部、東南アジアまで熱帯、亜熱帯地域に広く分布し、海岸など水辺に多く自生しており、沖縄では成長が早く花が美しい(下の写真:右)こともあって街路樹や公園などによく植栽されている。本島では、名護市東江(あがりえ)、大宜味(おおぎみ)村喜如嘉(きじょか)、うるま市の「ビオスの丘 」をはじめ、 那覇市の公園にも植えられている。何年か前、沖縄市の総合運動公園では、この実を口に入れた1歳児が救急搬送され、入院した事故があったそうだ。

この事故の後、那覇市が市内のミフクラギの植栽状況を調査したところ、14公園に約170本、街路樹に2本あったと新聞に出ていた。 街で美味しそうな果実を見つけても、決して口にされないように。しかし、こんなアブナイ木を街路樹にしたり公園に植える理由が、よく分からないのだけれど…。



シロノワール 小倉トースト
ミフクラギの実(左:那覇市公園管理課)と花(右:沖縄タイムス)

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背景の「読谷山花織」は、「ゆたんざはなうぃ」または、「よみたんざんはなおり」と読みます。琉球王朝のための御用布として織られていました。絶滅寸前だったものを、昭和39年に読谷村で「幻の花織」として復活しました。