沖縄で巨大地震の可能性が?


今回は平成30年8月2日付け「沖縄タイムス」掲載のニュースとHP「南西諸島のプレート配置図と地震活動」、HP「ハザードラボ」などを参考に作成したものです。

琉球大学などの研究グループが、沖縄本島南方の琉球海溝沿いに、巨大地震を引き起こすプレート間の「固着域:こちゃくいき(注)」があることを発見した。固着域という用語は、あまり聞きなれないので、下に注釈を加えた。これまで南西諸島周辺では巨大なプレート間地震は発生しにくいとされており、研究グループの中村衛琉大理学部教授は「将来的には巨大地震や津波が起きる可能性があり、早急に認識を改める必要がある」と指摘した。

(注)固着域…地下のプレートの境目には、通常は強く固着している領域と比較的すべりやすい領域があり、強く固着している領域を固着域あるいはアスペリティという。実際の地震では、このアスペリティの領域が周囲と較べて特に大きく滑り、強い地震波を出すとされている。東日本大震災や南海トラフ地震などの海溝型地震は、長年にわたって固着していた固着域が一気に破壊されることが要因とされる。

★10年間の観測結果
琉球海溝では、沖縄本島が乗っているユーラシアプレートに、フィリピン海プレートが沈み込んでいる。研究グループはこのプレート間の固着状況を調べるため、本島から約60キロ南方の水深2300〜2900メートルの海域2カ所に機器を設置し、10年間にわたって地殻変動を観測した。

その結果、一つの地点では1年に6.3センチ、もう一つの地点では2.1センチずつ沖縄本島に向かって動いていたことが判明し、プレートが固着していることが裏付けられた。 国土地理院のGPS観測網の観測結果と併せて分析すると、固着域は少なくとも長さ約130キロ、幅は最大で約60キロになるという。



固着域の場所

固着域の場所


沖縄本島南方の沖合では、琉球王朝時代の1791年にマグニチュード8クラスの海溝型地震が起き、11メートルの津波が沖縄本島地方を襲ったとされる。今回発見された固着域はこの地震を起こしたとされる領域と重なっており、中村教授は「同規模の地震が起きることも考えられる。調査範囲を琉球海溝全体に広げ、固着域の広がりやひずみの蓄積状況をさらに詳しく突き止めたい」と話した(2枚の画像の上は、琉大中村教授の資料を元にサイトの管理人が加筆したもの。下はHP「ハザードラボ」からお借りした)。

なお、沖縄気象台の地震火山課職員は、「沖縄には地震は来ないと長く言われ続けていたが、それは間違い。沖縄は地震が多いところである」と断言する。南西諸島は、二つのプレートの境目近くにある。プレートの押し合いやずれで地震が起こりやすい。大地震発生の危険性もあるという。 沖縄気象台の統計資料によれば、平成28年1年間ではマグニチュード0・5以上の地震が1万5,219回。震度1以上は98回、そのうち震度3以上は6回だった。その前年の平成27年を見ても、マグニチュード0・5以上の地震が1万4,568回、震度1以上は77回、震度3以上が12回観測されているそうだ。 震度1以上を観測した回数を都道府県別に比べると、平成27年は、全国で16番目に多く、これは全国平均を上回るので沖縄は地震が少ないとはいえない。


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背景の「読谷山花織」は、「ゆたんざはなうぃ」または、「よみたんざんはなおり」と読みます。琉球王朝のための御用布として織られていました。絶滅寸前だったものを、昭和39年に読谷村で「幻の花織」として復活しました。