浜下り(はまうり)って何?


三月菓子  

沖縄の行事に「浜下り(はまうり)」がある。「浜下り」とは、旧暦3月3日に行われる女の子の行事であり、浜の白砂を踏んで身を清めることをいう。

旧暦3月3日は、常に干満の差が1年間で最も大きい大潮になる。この日の干潮時には、海浜や干瀬が最も広がるため、女性たちは、 重箱にヨモギ餅と三月菓子(注1)をはじめ、赤カマボコ、黄色カステラカマボコに赤飯のおにぎりを詰め込んだ"ごちそう" を用意して浜に集まり、潮干狩りや海藻採りを楽しむ。「浜下り」の日は、毎年異なるが、今年(2024年)は4月11日にあたる。

Wikipediaによれば、ある娘がイケメンと通じて子を身籠ってしまった。たが、その男の正体はアカマタ(ヘビ)が化けたマジムン(魔物)だった。そこで娘は海に飛び込んで身を清め、アカマタの子供を流したことが「浜下り」の由来であるとする昔話が伝わっている(注2)

沖縄本島では「はまうり」とか「はまおり」というが、宮古諸島では「さにつ」、八重山諸島では「さにず」という。同じ行事が、徳之島や奄美大島にも伝わっている。


以上、HP「沖縄大百科」「沖縄行事情報」などを参考にして作成した。なお、沖縄では、3月3日は「浜下り」という行事が定着しており、新暦3月3日の「ひな祭り」の風習は、明治になって大和から伝わったものなので、ひな人形を飾る家は、あったりなかったりと、家によってマチマチのようだ。本土では女の子が生まれると、奥さんの実家からひな人形が贈られてくるが、沖縄では必ずしも定着していないという。なお、3月3日は「桃の節句」だが、沖縄では桃の木は、目にする機会が少ない。植えても生育が悪いので、あまり一般的ではないそうだ。

(注1)三月菓子(さんぐゎちぐゎーし)…。旧暦三月三日の「浜下り」のときに作る菓子。卵、砂糖、ラード、小麦粉、きざんだ落花生を入れ、表面に2〜3本の包丁目を入れて長方形にして油で揚げる。初めて節句を迎える女の子がいる家では、親戚や隣近所に配って祝う。下の写真のお菓子が三月菓子。中身はサーターアンダギーなのだが、重箱に入れやすいように四角形に作られている。マルキヨ製菓では、注文があるので3〜4月だけでなく、年中、作っているとか。

(注2)アカマタ伝説…昔、むかし、首里城下のはずれに、1人の美しい娘がおりました。ある日、若い男がその娘を訪ねてきました。その男は、雨の日も風の日も、毎日娘を訪ねて2人は親しくなっていきました。娘は「あなたは誰ですか? どこからいらしたのですか?」と質問するも、男は答えることはありませんでした。そして娘は、その男の子供を身ごもってしまいます。それに気づいた娘の母親は「あの男は誰なんだい?」と尋ねるも、娘は男の名前すら知りません。

そこで母親は男の正体を探るため、1つの策を講じました。糸をつけた針を娘に渡し、男の髪にその針を刺すよう言いつけました。そして娘は言われた通り、男に気づかれぬよう、糸を通した針を刺しました。男は糸が付いた針が刺さっているとも知らず、夜明けには娘の家を離れ、どこかへと帰っていきました。

翌日、娘と母親は糸をたよりに歩いていくと、遠く離れた山の洞穴へとたどり着きました。洞穴を覗くと、そこにはアカマタ(ヘビ)がいました。そのアカマタの首には、娘が刺した針が光っていたので、2人は驚きました。男の正体は、ヘビのアカマタだったのです。 母親はいったん洞穴を離れ、ユタの家へと走り、そこでどうすればいいかのアドバイスを受けました。するとユタは、こう告げました。

「3月3日の潮がひく頃に海へ行きなさい。浜に下りて(浜下り)砂を踏みなさい。そして、潮水で娘の体を清めなさい。それで、アカマタのけがれを落とすことが出来る」

母親は言われた通り、3月3日に娘を海へ連れて行き、言われたとおりの事をやりました。すると娘の体から、アカマタの子供が7匹流れ出て、海の底へと沈んでいきました。こうして娘は、もとの清い体に戻る事ができたのです。めでたし、めでたし(マルキヨ製菓のブログより)。

なお、浜下りとは全く関係のない話だが、旧暦の平成31(2016)年3月3日は、新暦だと4月7日となり、この日は人気漫画「鉄腕アトム」の誕生日だった。手塚治虫さんの原作の公式設定では、平成15(2003)年4月7日が「鉄腕アトム」の誕生日とされているそうだ。

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