デイゴが危ない


デイゴの木
沖縄に引っ越ししてから、初めて石垣島の玉取崎展望台で、デイゴの花を見た。


観光で沖縄に来ていたころ、春ならばデイゴの花をよく見た記憶がある。咲いていれば、バスガイドさんが、「これがデイゴですよ〜」と必ず教えてくれた。デイゴは沖縄県の県花でもある。赤、もしくは濃いオレンジ色の花は、実に印象的である。

ところが、こちらに住むようになってデイゴを見たのは、引っ越してから4年も経って石垣島に行ったときに見たのが最初だった。どうして、その間に見なかったのだろうか?。

年配の方に聞いてみた。
私「最近、デイゴを見ませんが、何かワケでもあるのですか?」
沖縄の方「デイゴは絶滅寸前だよ。デイゴヒメコバチという害虫が寄生すると、木が枯れてしまうんだ。枯れないにしても花が咲かなくなる。もともと毎年咲く花ではないのだけれど…」
私「毎年、咲かないのですか?」
沖「うん、咲く木は咲くけれど、咲かない木は、全く咲かないね。枯れると切り倒すので、どんどん減っている」
私「ウラ年があるのですか?」
沖「デイゴが咲くと台風がよく来るし、咲かない年は台風が少ないので、気候と何か関係があるかもしれない。昔は、学校や公園に行けばよく見られたのだが…」

そういえば、ヒット曲「島唄」の歌詞は「♪デイゴの花が咲き 風を呼び 嵐が来た♪」で始まる。この歌詞は、本当だったんだ。

沖縄県のデイゴ被害は深刻で、県内のデイゴの半分は枯れてしまったそうなので、県の農林水産部はデイゴの葉に寄生している害虫「デイゴヒメコバチ」を防除するため、ヒメコバチの幼虫を捕食する「デイゴカタビロコバチ」をハワイから採集し、野外で放飼する実験を、今年(平成29年)から始めるそうだ。まずは石垣島で実験し、うまくいけば本島でも取り入れるという。ヒメコバチの天敵であるカタビロコバチで、ヒメコバチを全滅させる、つまりハチを持ってハチを制すというわけだ。

沖縄県は100年ほど前にハブや野鼠を退治する救世主としてマングースを野に放した。しかし100年経った今、マングースはヤンバルの生態系を脅かす存在として駆除の対象となってしまっている。マングースは失敗したけれど、こんどは成功してほしいね。成功すれば、またきれいなデイゴが見られるかもしれない。台風は来てほしくないけれど…。

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