沖縄吉本新喜劇に"喝"


沖縄吉本芸人達に激励の意味を込めて、敢えて辛口の批評をしたい。

この2〜3年くらいだろうか、沖縄芸人のテレビへの露出度がたいへん多くなってきている。国際通りにあった三越跡のハピナハに吉本沖縄花月が旗揚げしたのが平成27年3月だったので、ちょうど1年が経った。ところが、その沖縄吉本新喜劇に出演している芸人のレベルがイマイチなのである。その中心である「ガレッジセール」の二人は、十分に彼らの実力を発揮していると思うのだが、残念ながら、彼ら以外の芸人たちがイケマセン。セリフは棒読み、台本にはないだろう独りよがりのアドリブを入れるので、オチが何なのか全く不明。自分でしゃべったことに客が笑うと、笑われていることが分からず、受けていると勘違いしているのではないだろうか。『(芸人が客に)笑われてどないすんねん!。笑わせんかい!』と、叫びたいほどである。また、ガレッジセールと交代で出ているスリムクラブは、キングオブコントで決勝進出、M-1グランプリでは準優勝しており、吉本に在ってはスローテンポなコントや漫才で異才を放っている芸人なのだから、もっと彼らのキャラクターが発揮できるシナリオにしてほしい。他の吉本芸人と同じことをさせていては、彼らの持ち味が生かされない。

私は本土にいるとき、花菱アチャコ、大村崑、佐々十郎以降、岡八郎、花紀京、船場太郎、原哲男の時代を経て、桑原和男、池乃めだか、内場勝則、石田靖、辻本茂雄らが登場するまで、六十年来の吉本ファンである。京都にいるときは、新京極にあった花月に入場料金が安くなるレイトタイムに足繁く通い、その後、社会人になった後も、昭和の時代は梅田花月やなんば花月に、平成になってから一番多いときは、月に三回もグランド花月に通ったほど、こよなく吉本を愛した私には、沖縄吉本新人芸人達が歯がゆくて仕方がないのである。

沖縄吉本新喜劇では、沖縄出身の芸人が少ないのか、東京や関西ならテレビに出られないようなレベルの芸人がテレビ出演しているように思う(大阪吉本にも画才はあるけれど、芸才はあるのかないのかわからない"たいぞう"君は例外だけれど)。また、沖縄芸人達の大きな勘違いにひとつに、セリフに島言葉を使うと客に受けるとでも思っているのではないだろうか。それでは本土では通用しない。観光客や沖縄の若い人には意味も分からない島言葉に頼らず、本来の笑いで勝負して欲しいと思う。また、狭い沖縄ゆえの判官びいきで、沖縄出身者に甘い島の皆さんの好意に甘えすぎているようだ。箸が転んでも笑うような少女達への受け狙いを追い求めていては、全国区の芸人にはなれそうもないと思うんだけれど…。



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移住とは全く関係のない話で恐縮だが、吉本つながりで、昨年末のM-1グランプリ2015について、私の感想を述べさせていただきたい。
ご承知の方も多いと思うが、M-1グランプリというのは、吉本興業が主催する漫才のコンテストのことである。過去に10回行われ、一旦、終了したが、昨年、5年ぶりに復活した。
その復活した昨年の第11回大会のことだが、審査員が、それまでの松本人志やオール巨人といったベテラン芸能人から歴代優勝者へと変わってしまったので、審査員と出場者は、どちらも同じような年代で、しかも多くが吉本の仲間同士の間柄という関係になってしまった。このため、何が起こったかというと、後輩が先輩を審査することもあり、舞台から若い審査員に向かって恫喝するような見苦しい先輩の出場者もいた。それと、審査員は、本当に実力のある漫才師を選んだろうか?。何故なら、お互いが現役同士なのだから、歴代の優勝者というだけで審査員も出場者も日ごろは競争相手なのだ。昔、名横綱の大鵬関が『自分の地位を脅かす者は、誰であろうと叩く』と言ったことを思い出す。今は審査員席に座っていても、将来、自分達を追い越すかもしれないと思った者を選んだりするだろうか?。審査員は、出場者が、この人になら評価して欲しいと思われるような人で、かつ公平な判断が出来るベテラン芸人がするべきだと思う。
なお、念のために申し上げるが、優勝したトレンディ・エンジェルの実力がないと言っているのではない。彼らは、平成27年のTHE MANZAIでも準優勝しているほどの実力者である。
以上、移住と関係のない話で、たいへん失礼。

《追記》
なお、「ハピナハ」の閉館にともない、平成27年3月に始まった沖縄花月は、平成29年6月末でいったん幕を閉じた。現在は那覇市泊の「とまりん」ビル内に会場を移してライブ寄席公演を行っている。⇒ こちらの劇場も、2022年4月閉鎖された。

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