クワズイモは食べられません


沖縄に住み始めてから、よく野山を歩いた。どこに行っても生えているのが「クワズイモ」だった。山ではなく、街を歩いていても、公園や空き地などで見かけることもある。葉がやたら大きくて、人の顔の倍、それ以上のものある。背丈も高いのは3メートル以上ある。ウチナンチュ(沖縄県人)の同行者に「イモという名前でも”クワズ”とついているから食べられないのですね?」と聞くと、「そうです。毒があるので、誰も食べませんねぇ〜」という答えだった。「葉が大きいので傘の代わりにはなりますね?」というと、「切り口から出る樹汁で、かぶれますよ」という返事だった。つまり、食べられないイモで、傘の代わりにもならない、とっても目立つ緑の植物というだけだった。

ところが、この「クワズイモ」にそっくりな植物があり、四国の特産品として生産されていることを知った。その名は「ハスイモ」という。驚くことに、沖縄から伝わったので「リュウキュウ」の別名もあるという。沖縄の植物に詳しい伊波英雄さんによれば、「ハスイモ」は、学名を「コロカシア」といって、サトイモの仲間でイモや茎を食べる。しかし、「クワズイモ」は、同じサトイモ科でも学名は「アロカシア」といって、シュウ酸を多く含むため、樹液でカブレを起こし、食べると大変なことになるそうだ。この二つは葉の形状が似ているだけでなく、名前も「コロカシア」「アロカシア」と、よく似ているので、間違えやすい。沖縄では、毒があることを多くの人が知っているので、食べる人はいないが、本土ではハスイモと間違って食べて食中毒を起こすことがよくあるそうだ。

ネットで調べたら、KONOHABOYさんのブログには、次のとおり詳しく記されていた。
「クワズイモには、シュウ酸カルシウムという毒性成分を含んでいるので食べられない。
葉、茎や根にも含まれているので、切ったときに出る汁でも被れる人もいる。
シュウ酸カルシウムというのは、針状の結晶をしていて、口や皮膚などを刺激性の痛みが襲う。
食べると、悪心、嘔吐、下痢、麻痺、皮膚炎などの症状を起こす。
そのため、日本の法令では毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。
クワズイモとハスイモは、同じサトイモ科の仲間。同じサトイモ科の仲間であるため、見た目がそっくりなので、区別がむつかしいと思う。」

下の写真は、左がクワズイモ(嘉津宇岳で撮影)、右がハスイモ(Tida-netよりお借りした)


クワズイモ ハスイモ


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背景の「首里織」は、首里王府の城下町として栄えた首里において王府の貴族、士族用に作られていたもので、悠々として麗美な織物が織り継がれ、現在に至っています。この作品は、米須幸代さんの「グーシー花織」です。